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2015.09.08

ワーキング・ペーパー(15-002E) 「Choice of market in the monetary economy」

本稿はワーキング・ペーパーです

 マクロ経済学では、貨幣の役割をモデルの中で描写する取り組みが様々な方法でなされてきた。最近、貨幣の果たす役割を明示的に描いた、いわゆるミクロ経済学的基礎を持った枠組みとして注目されているのが貨幣的サーチモデルと呼ばれる理論モデルである。このモデルはマクロ経済学の分野で今頻繁に研究されているが、興味深いことに、ほとんどすべての場合において、社会的に望ましい金融政策はいわゆるフリードマンルールに従うことが知られている。

 このフリードマンルールとは、経済学者のミルトン・フリードマンらによって提唱されている金融政策ルールのことで、簡単に言えば金利をゼロにする政策を指す。この政策を実現するには、貨幣を中央銀行が一定の率で減らし、デフレーションを引き起こすことが必要となる。しかしながら、世界の中央銀行はデフレを避けるよう政策運営をすることが通常であり、理論と実務との乖離が問題になっている。

 この論文では、サーチモデルにおいて、貨幣を用いる市場が、交渉によって売り買いの条件が決まる市場と、価格が競争的に決まる市場の2種類あり、品物の売り手や買い手が市場を選べると仮定し分析を行った。そして、このような場合では、プラスのインフレを起こすことが社会的に望ましい金融政策となることを示した。すなわち、フリードマンルールは最適政策ではなくなるのである。市場を人々が選べるというより現実的な仮定をおくことで、デフレが望ましくなくなるという自然な結果を得た。このようなモデルは現実の金融政策分析により貢献できると考えられる。




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