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2019.01.10

デジタル革新時代の地方税務の効率化-RPAやAIを活用して-

月刊『税』(株式会社ぎょうせい)2019年1月号に掲載

  • 柏木 恵
  • 研究主幹
    柏木 恵
  • [研究分野]
    財政・社会保障

 昨今、国や自治体は積極的に働き方改革を推進するようになり、それが追い風になって、業務効率化の流れが起きている。2000年ごろにもBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、業務の見直しのこと)やNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)、ABC(アクティビティ・ベースド・コスティング、活動基準原価計算)など効率化手法が流行り、多くの自治体で取り組みがなされてきた。公務員には基本的にリストラはないが、当時は自治体職員の中でリストラされるのではないかという懸念が生まれ、その懸念が反発につながり、大きな変化には至らなかった。しかし、20年を経て、人口減少、少子高齢化、働き方改革、財政難などの日本を取り巻く変化から、国や自治体では予算不足、担い手不足、労働環境の変化などの問題が顕在化し、生産性や資源配分の向上のため、再び、業務効率化が大きなうねりになりつつある。2000年ごろと異なり、デジタル化やAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術革新が時代に追いついてきたというのも理由の一つであろう。最近では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI、AI-OCRという言葉を耳にすることが増えたであろう。

 人口減少ということは、公務員の数も減少するということを意味している。住民ニーズが多様化している少子高齢社会を支えるには、公務員が適材適所に配置されないと業務がまわらなくなるため、効率化できるところは、積極的に効率化していくことが必要である。

 これまで業務効率化というと、IT化や民間委託が解決策であったが、新たな解決策として、RPA、AIが期待されている。筆者は、月刊『税』2018年1月号で、「地方税業務の民間委託 成功への道-個人住民税特別徴収業務を素材として-」と題して、特別徴収の民間委託について検討したが、この民間委託の一部をRPAやAI-OCRで代替することもできるのではないかと考えている。

 RPAやAIを導入する際には、業務プロセスの見直し(BPR)が必要不可欠である。なかでも紙文書を減らす努力をすることである。自治体には紙文書がいまだに多い。紙文書は莫大な保管スペースと保管コストを要し、紙を探す公務員の作業時間と人件費の無駄も生じる。そして最も怖いのは、紙文書の紛失と情報漏えいである。日本ネットワークセキュリティ協会の『2017年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(速報版)』によれば、公務は情報漏えい全体の28.5%を占め、情報漏えいの38.9%が紙媒体で、インターネットの22.5%を大きく上回っており、情報漏えい1件あたりの平均賠償額は5億4850万円にも及ぶ。このようなリスクを減らすためにもデジタル化による業務効率化は重要である。

 筆者は20年にわたり、さまざまな効率化の手法や事例を検討してきた。今回はRPAを中心に検討していく。第1章では、自治体をとりまくデジタル化・業務効率化に関する国の動向を概観する。第2章では、RPAについて概観する。第3章では、RPAの実証実験を行った熊本県宇城市、愛知県一宮市の事例を紹介する。第4章で、RPAによる業務効率化を実現するための課題について検討する。・・・

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デジタル革新時代の地方税務の効率化-RPAやAIを活用して-PDF:559.7 KB

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