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2017.10.24

ワーキング・ペーパー(17-009E) 「The optimum quantity of debt for Japan」

本稿はワーキング・ペーパーです

  • 上席研究員 中嶋 智之/
    京都大学経済研究所 髙橋 修平

 1990年代以降、我が国の政府債務は上昇を続けてきた。例えば、2013年時点で、政府純債務の額はGDP比で130%に達しており、先進国の中では最も高い水準となっている。すでに多くの研究が我が国の政府債務の維持可能性について議論しているが、本論文では、視点を変えて、国民の経済厚生から見て最適な債務残高がどの程度かについてシミューレーション分析を行った。我々のモデルでは、各労働者の賃金は分散不可能なリスクに直面しており、それが、労働者の間に異質性をもたらす。よく知られているとおり、そのような所得の不確実性が存在する状況では、政府債務を供給することで経済主体間のリスクシェアを助けることができるため、政府が負債を発行することに一定の便益が存在する。もちろん、政府債務を発行すれば、その利子支払などで税の追加的負担が生じるため、どの水準が最適になるかは、モデルやパラメータの水準に依存する。我々が日本経済を対象に推定したパラメータのもとでは、最適な政府債務の水準はGDP比で-50%となった。これは現実のデータよりも遥かに低い水準で、モデルによると、GDP比130%の政府債務を保持することの厚生コストは消費量で測って0.19%となった。パラメータに関しては様々な頑健性チェックを行ったが、現在の債務水準を正当化するようなものは見つからなかった。



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