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2015.08.12

財政再建への道のりーどん底からどのように抜け出したのか<北海道留萌市:人件費削減や繰上償還で病院事業繰出金を捻出>

『地方財務』(株式会社ぎょうせい)2015年8月号に掲載

  • 柏木 恵
  • 主任研究員
    柏木 恵
  • [研究分野]
    財政・社会保障

はじめに

 第5回は北海道留萌市を取り上げる。北海道留萌市は日本海に面し、数の子の生産量が日本一である。留萌市には陸上自衛隊留萌駐屯地をはじめ、さまざまな国や北海道の出先機関があることから公務員の町とも言われている。
 留萌市は、留萌市立病院の新病院建設と病院事業において多額の不良債務を抱え、平成19年度決算において連結実質赤字比率が36.61%となり、財政再生団体基準である40%に迫る状況であった。そこで、平成21年1月に財政再生団体転落の回避と地域医療を守るために、人件費削減や繰上償還などさまざまな健全化策を講じて病院事業を支援する「新・留萌市財政健全化計画(H21~H27)(以下、新計画と略す)」を策定した。
 留萌市の財政難は急に出てきた話ではない。留萌市の財政難の原因は新留萌市立病院の建設や近年の病院事業の経営不振だけでなく、平成に入ってから積極的に行われてきた普通建設事業費の増大が挙げられる。留萌市は平成4年度から実施されてきた国の景気対策に歩調を合わせて、道路や下水道、港湾などに投資したほか、一般廃棄物処理施設や公営住宅、温水プール、保健福祉センターなどの懸案となっていたさまざまな施設の建設を短期間に行ってきた。多額の起債を行ったために、公債費が膨らみ、財政を圧迫していた。財政再建団体への転落が懸念された平成12年度の「留萌市財政健全化計画(以下、健全化計画と略す)」を皮切りに、平成17年度の「留萌市財政再建計画(以下、財政再建計画と略す)」、平成21年度には「新計画」と「留萌市市立病院改革プラン(以下、病院改革プランと略す)」、そして、平成23年度に「留萌市立病院改革プラン改訂版」、平成25年度に「留萌市立病院改革プラン改訂版その2」を次々に策定し実行してきた。
 病院事業を中心に財政再建を進めていった結果、平成25年度決算における連結実質収支は約9億1千万円の黒字となった。また、実質公債費比率については、平成21年度からの繰上償還や地方債の発行抑制により改善した。病院事業はまだまだ厳しいが、最悪の事態は切り抜けた。
 本稿では、過疎地域である留萌医療圏の地域センター病院を持つ自治体として地域医療を担うことを選び、公債費の繰上償還を活用しつつ、徹底した人件費削減で財政再建に取り組んだ留萌市について検討する。 ...


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北海道留萌市:人件費削減や繰上償還で病院事業繰出金を捻出PDF:911.8 KB

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