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2013.02.20

自治体債権の共同徴収の類型化とその実態

月刊『税』(株式会社ぎょうせい)2013年2月号に掲載

  • 柏木 恵
  • 主任研究員
    柏木 恵
  • [研究分野]
    財政・社会保障

はじめに


 本稿では自治体内および自治体間の自治体債権(公債権・私債権)の共同徴収(公債権のみの共同徴収、私債権のみの共同徴収も含む)に焦点をあて、類型化を試み、その類型に該当する代表的な自治体のなかから4つの事例(京都地方税機構、兵庫県神戸市、長崎県松浦市、北海道赤平市)を検討する。

 昨今の自治体では、国民健康保険料(税)の滞納が地方税の滞納よりも重くのしかかり、病院の治療費や中小企業への貸付金の未収金など、さまざまな自治体債権の未収金が大きな問題となっている。

 もともと各種債権には担当課があり、その担当課が責任をもって徴収するのが本来の姿であるが、昨今の経済状況や自治体の財政状況を鑑みると、あらゆる債権回収の機会を作り出し、自治体が一丸となって(もしくは自治体間で連携して)徴収する必要がでてきた。税務課職員も徴税吏員として、プロフェッショナルとして、地方税の徴収だけでなく、他債権の未収金徴収に関しても牽引していく役割を期待されている。税務課職員だけでなく、徴収を担当する職員も他の未収金にも目を配り、協力して徴収していくことが自治体の利益に繋がることを理解し、実行し始めている。

 自治体債権は複雑である。国民健康保険料や介護保険料、保育所保育料のように、地方税以外にも強制徴収ができる公債権もあれば、公債権でありながら強制徴収できない生活保護費返還金や幼稚園保育料などもある。住宅使用料や水道料金、貸付金は私債権である。強制徴収公債権とそれ以外では滞納後のアプローチが異なる。

 しかし、自治体の債権は公債権であろうと私債権であろうと、住民からみれば「自治体債権」である。実際に自治体債権の実態を把握している住民は、ほとんどいないだろう。住民の利便性を考慮すれば、一か所でまとめて納めたり、払ったりできたほうがよい。自治体へ支払う内訳も1枚の明細書でわかるのであれば、そのほうが便利である。

 筆者は、自治体債権は自治体債権として、強制徴収できる公債権に統一したほうがよいと考えているが、たとえそうならなくとも、徴収は技術的には一元化できると考えており、徴収一元化を推奨してきた。課税についても、電車や地下鉄の相互乗り入れのように、データのトランザクションが可能となれば、共同課税は可能と考えている。...


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自治体債権の共同徴収の類型化とその実態PDF:977.5 KB

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