本文へスキップ

2017年 研究領域・テーマ:資源・エネルギー・環境

持続可能なエネルギービジョンの検討

プロジェクトリーダー
プロジェクトメンバー  ・ 
プロジェクトの目的 トランプ政権の登場など国際的な地球温暖化、エネルギー需給等に関する情勢が大きく変化する中、資源・エネルギー・環境は依然重要な政策課題である。特に、将来の経済社会を支えていく持続可能なエネルギーシステムの構築は喫緊の課題となっている。本研究では、これらの課題に関する国内外の最新動向を把握しつつ、地球温暖化などの環境制約、変動する国際情勢による市場の不安定性、地政学的な要因等による需給の逼迫などの課題の克服等に向けた将来のエネルギービジョンを見据えて一連の活動を行う。その際、イノベーションによる新たな可能性やこれらの課題が東アジアにおいてどのように共有されるのかなどについて深く注意を払っていくこととする。また、温室効果ガス削減効果等3つのEの観点から優位性を有する原子力技術に関しても検討の視野に包含する。
プロジェクトの概要 1.エネルギー環境セミナー
国内外のトップレベルの専門家による講演会を開催し、世界の最新動向を捉えて議論することで認識を深める。
2.研究者・政策担当者のためのエネルギー研究会
Evidence-basedな政策立案や政策の基礎となる社会合意形成などのために、分野や立場を超えた若手を中心とする研究者を国内外から招聘し、ワークショップやセミナーを継続的に開催することで、幅広い観点から議論を継続し「新結合」が起きやすい環境を醸成するとともに、研究者や政策担当者等が交流し切磋琢磨する場を提供する。
3.アジア主要国との意見交換
中国等アジア主要国の大学・研究機関、政府、国際機関等の研究者、政策担当者等とワークショップ等を通じて意見交換、情報収集を行う。

長期的な温室効果ガス削減に向けたイノベーションを加速するための環境醸成に向けた検討

プロジェクトリーダー
プロジェクトメンバー  ・ 
プロジェクトの目的 本年はIPCCの国際会合が開催され(杉山上席研究員は「1.5度シナリオ特別報告書(2018年9月に刊行予定)の主著者に選出)、政府の委員会・研究会等において、内外の研究者・ステークホルダーとの意見・情報交換の場が多く予定されている。このような状況を踏まえ、本テーマでは下記3点を目的とする。
1)社会貢献として、IPCC活動に専門家として参加し知見を提供するとともに、同活動を通じて得られる情報を活用し「地球温暖化問題の総合的理解」を図る。
2)求められるイノベーションを加速するための方策を柱とする、将来のエネルギー・地球温暖化対策の横断的な戦略の検討を開始する。
3)IPCC活動を通して得られる研究者・ステークホルダーのネットワークをテーマ「持続可能なエネルギービジョンの検討」の研究交流プラットフォーム構築等に活用する。

*本テーマとIPCC活動との関係について:
IPCC「1.5度シナリオ特別報告書」では、地球温暖化を1.5度に抑制するための技術・費用・環境影響等について検討が行われる。この温暖化抑制シナリオは極めて野心的なもので、その実現可能性自体は低いものの、その検討過程においては、むしろ大規模な排出削減をするにあたってのイノベーションの位置づけが分析されるとともに、原子力の役割、温暖化問題の科学的不確実性や、温暖化の環境影響評価に関する不確実性、そして効果的な制度設計のあり方等について、世界最先端の総合的な議論が行われる予定である。これは、ともすれば縦割りや規制の重視に陥りがちなIPCC活動、すなわち地球温暖化問題を、総合的に検討する貴重な機会となる可能性があり、そういった問題意識でIPCCでの議論を活用していく。
プロジェクトの概要 1)IPCC会合に出席するとともに、政府の国内IPCC委員会・シンポジウムや「エネルギー環境セミナー」等の会合で、研究者及びステークホルダーに対して報告と意見・情報交換を行うとともに議論を深める。
2)エネルギーと地球温暖化対策を一体のものとして位置づける。また、同問題に対応する戦略として、イノベーションの推進・加速を基軸に据えたものを構想し、国内制度・国際制度の設計のあり方について検討を行う。
温暖化対策において大規模な排出削減を実現するためにイノベーションは重要だと言われているものの、従来のイノベーション論はともすれば抽象論に留まることが多く、具体的な政策として何をなすべきか、という点について、理論的・現実的な整理・分析は必ずしも十分ではない。そこで、エネルギー問題と地球温暖化を一体と捉え、イノベーションの全般的な動向を整理する。その際、複雑系科学の理論等を温暖化対策技術のイノベーションに適用し、特にICTの急激な進歩が地球温暖化問題の解決にどのように寄与するかを明らかにする。
制度設計については、近年になって規制色を強めている温暖化対策がイノベーションを阻害する懸念について検討した上で、イノベーションを促進するような制度設計のありかたを検討・提言する。

原子力安全の新規制基準の影響に関する法的分析

プロジェクトリーダー
プロジェクトメンバー
外部協力メンバー 豊永 晋輔(弁護士)
プロジェクトの目的 現代では、科学技術の発達に伴うリスクを、法的観点から分析する必要性が高まっている(いわゆる「科学技術と法」)。たしかに、裁判における科学技術と法との関係を検討した研究はこれまでもあった。しかしながら、科学技術を政策にとりいれる際の法制度のあり方、民主制の下で科学技術のリスクを統制する法制度のあり方について研究したものは少ない。そこで、科学技術と法制度の研究、具体的には、大規模複合的で有用な技術であると同時に、公衆被害を惹起するリスクも大きいという特性を有する原子力技術について、その法制度を対象として、安全確保をいかに図るかという観点から研究を進めたい。また、研究に当たり、①原子力産業に対する投資の安定を確保する法制度のあり方、②技術革新を促進する法制度のあり方、③市民意識や立法技術の進展等国際的な潮流に照らした法制度のあり方、④核エネルギーの利用に関する国民的議論を喚起することにより、責任の所在を明確にする法制度のあり方、⑤標準化・認証による効率性の向上を確保する法制度のあり方、⑥経済やエネルギーに関する法制度の一部としての原子力法制のあり方という観点を加えたい。これにより、原子力に止まらない、応用可能性の高い研究が可能になる。
プロジェクトの概要 本年は、原子力安全と原子力損害賠償制度との関係について法的に分析する。これにより、適切な原子力損害賠償法の改正を示唆することができる。具体的には、原子力安全の新規制基準の下で、原子力事業者の無過失責任が、事業者の事故防止のインセンティブを減少させるか、相当因果関係の範囲を拡張又は縮減するか、事故発生の責任の所在を明確化するための制度はどうあるべきかなどについて検討する。また、過失責任に関する一般的な損害賠償理論や英米法から検討した上で、文献調査や海外調査により法的分析を加える。
この検討のため、以下のとおり、複数の場を設ける。
1)ワークショップ
検討・分析に当たっては、法内在的な検討に加えて、有識者の意見を積極的に採り入れるため、半年に1回程度のワークショップを開催する。昨年度は、国際潮流およびリスクに注目したワークショップを開催した。本年度は、①原子力損害賠償(特に風評被害の終期)の経済分析、および②原子力に関するイノベーションを促進する法制度分析という、これまでになかったアプローチで検討を行う予定である。
2)有識者による研究会
技術や政策の有識者の意見を積極的に採り入れるため、1、2か月に1回、有識者による研究会を行う。昨年度は9か月で5回の研究会と、派生的に1回の有識者インタビューを行った。
3)事業者勉強会の開催
今年度から、原子炉メーカー3社(東芝、三菱重工、日立)、及び主要電力会社2社(東京電力、関西電力)により構成される事業者勉強会を開始した(5月に第1回を開催)。
このような事業者勉強会の目的は、原子力事業に関連する投資誘因という面で、原子炉メーカーと広く問題意識を共有できること、原子炉メーカーは、責任集中により保護されるが、原子力事故の抑止の観点から検証しなおすべく、議論を深めることである。

研究領域・テーマのトップへもどる