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2018年 研究領域・テーマ:政治・経済

農業政策

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 農業の国際競争力を十分に発揮していくことを妨げてきた要因に農政がある。その根幹には、①価格支持政策に過度に依存した農家所得保護政策、②自作農の維持だけを念頭に置き、農地の流動化による農業の規模拡大を阻害してきた農地制度、③戦後政治上最大の圧力団体として、農家の兼業化の下で脱農化によって発展したJA農協を支えてきた農協制度の3本の柱がある。これらについては改革の方向が見え始めているが、まだ十分ではない。むしろ減反政策のように、農業の発展や食料安全保障の見地からは、改悪が進んでいるものもある。輸出競争力のある強い農業を実現するための農政改革に関する骨太の提言を行っていく。
さらに、IT・AI技術やバイオテクノロジーの導入・活用、企業的な経営技術の活用などにより、農業を改革しようとする動きや流れがある。しかし、マスコミやシンクタンク等は可能性ばかりを強調し、実際の現場や経営の改善・向上から大きくかけ離れた議論や主張がなされている。GPSの活用の前提には一定規模以上の圃場が必要となる。新技術の活用に農業の規模拡大・構造改革が必要となるのである。新技術の活用について問題点を分析するとともに必要な政策を提案することによって、農業経営の近代化・合理化を図り、農業の国際競争力を強化し、輸出市場の開拓を推進する方策を研究する。
プロジェクトの概要 全国各地の農業者や農産物加工・流通業者等と意見交換し、経済学的な基礎の上に立って、価格支持政策、農地政策、農協政策という農政の大きな柱を中心に、提言を行う。
IT技術やバイオテクノロジーなどの先進技術の導入・活用による日本農業発展の可能性とそれに必要な政策的な枠組みを、国内の農業現場やベンチャー企業の動向を調査するとともに、オランダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど先進国での取り組み事例なども調査しながら、検討する。

通商政策

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 アメリカ抜きのTPP11に難色を示していた安倍政権も2017年に大きく方針転換を図り、2017年11月にTPP11の大筋合意がなされた。日EU自由貿易協定もその大枠は合意された。TPP11はアメリカをTPPに復帰させる仕組みであるが、それが実現するかどうか現時点で明らかではない。また、並行してRCEPの交渉も進んでいる。その一方で農業分野では不必要な自由化対策が決定されている。これらの交渉や国内対策の動向を調査・分析し、望ましい政策について提言する。
プロジェクトの概要 国内外の交渉担当者、シンクタンク、国際経済学及び国際経済法の研究者と意見交換を行い、これを踏まえて今後の通商交渉のあり方について調査・分析を行う。

林業政策

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 我が国の国土の3分の2を占める森林は、水資源の涵養や洪水の防止などの役割を果たしてきたとともに、地球温暖化ガスの吸収源としても注目されるようになっている。しかし、国産材時代を迎えたといわれるにもかかわらず、木材価格の低迷等によって林業が衰退し、間伐など森林の適切な処理が行われないため、これらの外部経済機能は十分に達成されているとはいえない。林業問題について多面的な角度から分析するとともに、林業再生のための条件とそのために必要な政策を研究する。
プロジェクトの概要 林業従事者、林業政策の担当者および研究者と意見交換を行いながら、統計データを踏まえ、政策提言を行う。

中国経済分析

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 中国経済は高度成長期の終盤局面にあり、中長期的には成長率の緩やかな減速傾向が続いている。しかし、足許のマクロ経済は、習近平政権の「新常態」・「供給側改革」等の政策の下で過剰設備や過剰在庫の削減が進捗したこともあって企業収益が改善し、緩やかな景気拡大の下、設備と雇用の前向きの循環が見られており、当面、経済は安定的に推移する見通しである。
しかし、中期的には過剰流動性が引き起こす不動産バブル再燃リスクや地方政府の安定財源不足の問題に加え、金融自由化の推進が生む金融不安定化リスク、社会保障制度の整備に伴う財政負担の増大など難題も多い。これらに対して党大会後の第2期習近平政権がどのように取り組んでいくかを注意深くフォローする。
この間、2018年は日中平和友好条約締結40周年にあたり、日中関係の改善が期待される。日本企業の中国ビジネスの好調持続を背景とする日本企業の対中投資姿勢の変化、中国からのインバウンド旅行者の動向が日本経済に与える影響など、日中両国間の双方向の動向も注視し、短期的な経済分析とともに日中関係への中期的影響も展望する。
プロジェクトの概要 定期的な中国出張による現地取材をベースに、中国の政府関係者・学者・エコノミスト、中国現地の日本企業等信頼できる筋から正確かつタイムリーな情報収集に努める。それらの情報を基に、マクロ経済、地域経済、産業別動向、金融動向、国有企業改革の進展状況等を総合的に整理し、国内政治動向や日中関係も加味し、中国経済の実態および日中経済関係をわかりやすく分析する。

A Globally Connected Japan-Élan Vital Japan Version 2.0

プロジェクトリーダー
プロジェクトメンバー  ・   ・ 
外部協力メンバー 黒川 清(東京大学政策研究大学院大学教授)、本田 幸夫(大阪工業大学工学部ロボット工学科教授)
プロジェクトの目的 ICT活用における具体的方策を更に詳細に分析した研究-ICT活用によるハイテク医療福祉分野の研究-を実施し、日本の新しい基本路線の一端を担う提言を求めて行きたいと考えている。
プロジェクトの概要 個別研究会を開催し、レポートをまとめる。

東アジアの長期情勢に関する分析・評価

プロジェクトリーダー
プロジェクトメンバー  ・   ・   ・ 
プロジェクトの目的 2050年までの東アジアにおける大国間の関係の長期的趨勢について、とくに大国間の攻防といわれるような米中間の対立・競争についての戦略的趨勢を中心に、長期的情勢の変化を、より総合的に分析・評価する。こうした研究により、東アジアの長期情勢の特徴を導出するとともに、東アジアの国際関係の安定化の方途を探る。
プロジェクトの概要 (1) 東アジア長期分析研究会
月1回程度の勉強会の場を利用し、東アジアの長期的趨勢について、経済的、政治的、社会的変化およびそれらの変化が中長期的に東アジアの国際関係に与える影響について議論を行う。また、当研究所にて、成果を踏まえて東アジア長期情勢シンポジウムを開催する。
(2) 外国人中国研究者の招聘
年に2~3名程度の外国人中国研究者を月一回程度の研究会の場に招聘し、東アジアの長期的趨勢、特に中国との関係について議論を行う。

中国の銀行制度改革と資本市場の育成

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 中国ではWTO加盟(2001年12月)から10年ほどの間に、5大銀行の株式上場、都市商業銀行の再編、農村金融制度の基盤整備等、銀行セクターの全面的な改革が大きく進展した。一連の改革の成果は、主要商業銀行の財務内容改善につながり、同国金融システムの安定性向上ひいては経済・社会の安定維持に大きく寄与した。但し、銀行システムの回復は、規制金利を始めとする同国の競争抑制的な政策に支えられた面も大きい。また、高度経済成長の下では、担保不動産価格の上昇や新規ビジネス参入者の増加など、銀行の不良債権処理に有利な事象も広範にみられていた。
2010年代に入り、経済成長の減速、過剰生産能力の調整、銀行間の(部分的)競争の激化等、中国の銀行セクターを巡る環境が厳しい様相を示し始めている。一方で、同国共産党指導部等は、金融セクターが実体経済に貢献することを引き続き強く求めている。
本研究では、銀行が経済成長に必要な資金を効率的かつ安定して提供してゆくために必要な改革のあり方を、同国金融セクターの現状分析と海外の経験等との比較をベースに検討する。また、急成長中のインターネット金融等、新たな金融サービス分野を含め、中国の金融システムが直面するリスクにつき、現状を分析し、状況改善への提言を試みる。
中国では、銀行セクターへのリスク集中を緩和すべく、資本市場育成に向けた努力も続けられているが、その進展状況を確認し、市場の発展を阻害している要因を洗い出し、改善への提言を試みる。
プロジェクトの概要 中国経済の成長モデル転換にとって重要な資金分配の役割を担う金融システムにつき、銀行制度改革を中心に、これまでの改革の成果と今後の課題を分析・評価する。研究に際しては、中国政府の政策発表と公表統計等に、アネクドータルな情報を加え、問題を多角的に分析する。主な研究活動としては、
(1) 中国政府及び市場運営機関、個別金融機関等の公表資料や金融統計を収集・整理し、金融機関の財務内容やリスク管理体制の現状と課題を評価・分析する。
(2) 比較的詳細な財務データを収集しやすい主要上場銀行について、コーポレートガバナンスのあり方と収益及び不良債権の関係につき、評価を試みる。
(3) 社債市場育成の実績を整理し、問題点を洗い出し、改善に向けた課題を検討する。
(4) 金利の自由化及び資本取引規制緩和の適正なプロセス及びペースにつき、足元の阻害要因を整理・分析しつつ、検討を深める。
研究の過程において、中間報告の実施やワーキングペーパーの公表を通じ、有識者等にコメントを求める。また、適宜のタイミングで中国、香港、アジア及び欧米の中国人民元取引の厚みが増しつつある市場所在地に出張し、市場関係者及び研究者等と意見交換を行い、研究成果物の質を高める。

安定成長への円滑な移行を目指す中国における財政の役割

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 中国の国家ガバナンス強化のために必須の課題である、「中央と地方」の関係及び政府と市場の関係を合理的に再構築する上で重要な要素である同国財政の持続可能性につき、2016年及び2017年の研究を更に掘り下げ、国際比較を交えた検討を行う。
中国共産党指導部は、1990年代前半に経済政策運営の大目標として「社会主義市場経済」の建設を宣言したが、中央政府と地方政府の役割分担や政府と市場機能のバランスのあり方については、曖昧さをかなりの程度残したまま、眼前の課題をクリアすることに注力し、大きな経済成長を遂げてきた。しかしながら、高度経済成長の終焉とともに、広大な国土と膨大な人口を抱える同国内の経済格差に代表される様々な矛盾を、より緻密な手法で解消することが求められるようになっている。
本研究では、中国の透明かつ公正な財政政策運営のために、財源の確保とその配分をいかに進めるべきかを検討することを目指す。検討の前提として、まずは中国の国家財政の現状を正確に把握し、問題の所在を明確にすることに注力する。
プロジェクトの概要 中国内外の先行研究のレビューと中国政府による報告、同国内外のメディア情報等を整理し、中国の財政制度の安定性、持続可能性について検討を深める。
(1) 中国で現在集中的な取り組みが進んでいる地方政府債務の整理手法等につき、実態把握に努め、地方政府債務の持続可能性について分析を試みる。
(2) 2016年、2017年の研究で推計を試みた同国社会保障関連支出の将来展望を、更に掘り下げる。
(3) 中国の金融・財政問題に関連して、しばしば指摘される「暗黙の保証」問題が解決する見通しについて、検討を深める。

中国の国際資本フローの変化

プロジェクトリーダー
プロジェクトの目的 中国経済のグローバル化の進展に伴い、同国のクロスボーダー資本移動も急速に増加している。同国政府は、資本取引規制の緩和について、原則としては慎重なスタンスを取り続けており、貿易及び対内外直接投資以外のクロスボーダーの自由な資本移動は、今のところまださほど大きくはない。但し、そもそも中国の貿易及び対内外直接投資は相当な規模に上っているうえ、同国の経済規模の大きさも相まって、ごく一部の資本の動きであっても、アジア金融市場ひいては国際金融市場に大きなインパクトを与えることがある。
本研究では、中国の国際資本移動の現状を再確認し、金融自由化のペース配分につき、検討を重ねる。また、同国が力を入れている「一帯一路」戦略の推進が中国を巡るクロスボーダーの資本移動をどう変化させているか、変化の兆候を分析する。
プロジェクトの概要 国内外での学術研究会に積極的に参加し、専門家と意見交換を行う。パネルディスカッション等にスピーカーとして参加した際には、その内容を研究所のホームページ等で公表し、研究成果についてコメントを求める。
米国との経済協議に関連し、中国の研究者等から80年代の日米金融協議等の経験につき、質問を受けることが増えている。そうした質問に答える機会を活用し、中国の金融自由化の道筋について議論を深める。

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