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2013.02.14

クリスティーヌのプレゼント

  • 福井 俊彦
  • 理事長
    福井 俊彦

 少し旧聞となるが、先月23日、IMFは世界経済見通しの改定版を発表した。多くの方がご覧になったと思うが、意外に反響は乏しかった。昨年10月時点の見通しに較べ、世界経済の成長率は若干下方修正となっているものの、今年(+3.5%)から来年(+4.1%)へ向けて緩やかに回復傾向を辿るとの基本シナリオが維持されているからであろう。

 先進国全体の姿(今年+1.4%、来年+2.2%)あるいは新興国全体の姿(今年+5.5%、来年+5.9%)をみてもそうだし、個々に米国(今年+2.0%、来年+3.0%)、ユーロ圏(今年△0.2%、来年+1.0%)、中国(今年+8.2%、来年+8.5%)などの姿をみても、このシナリオに狂いはない。

 その中で、おやっと思わせるのが日本経済の姿だ。今年(+1.2%)よりも来年(+0.7%)の方が低い成長率予想となっている。震災復興需要の減衰といった要因は勿論あろうが、果たしてそれだけであろうか。

 IMFの経済見通しには、数字だけでなく簡単なコメントも付いている。日本についてのコメントが注目される。その要点は次の通りだ。

 「日本における最重要課題は、経済成長と物価を押し上げようとする新たな努力を、思い切った金融政策、消費税引き上げを要とする堅固で信頼の置ける財政再建中期計画、並びに潜在成長能力の向上に繋がる構造改革により、確りと裏打ちすること。強力な中期財政戦略を欠いたままでは、一連の景気刺激策は重大なリスクを孕む。とりわけ、刺激策のみに頼った景気回復は短命に終わり、国家債務のつけのみが大きく残る心配がある。」

 IMFのクリスティーヌ・ラガール専務理事は、昨年の秋、「円高が行き過ぎている」との見解をわざわざ明らかにした程の日本贔屓だ。今回のIMFのコメントはアベノミックスに冷や水を浴びせようとするものとは思えない。日本経済の将来を親身になって考える立場からは、「これからが正念場」という意味で誰しもが発する警告と受け止めるべきものであろう。