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2017.08.01

再びトランプ政権について

  • 林良造
  • 理事・特別顧問
    林良造

 2月のコラムでトランプ政権の半年後を予想してみた。以来半年、政権の支持率は低空飛行が続いている一方、国際社会では相変わらずトランプ旋風が吹き荒れている。


 例年5月末にボッシュの国際諮問委員会がある。毎年この場の議論は欧州とアジア、米国との受け止め方の違いが際立って面白い。今年はプラハで行われた。大変美しい街であったが、案内の人が酷評する通り、共産主義の名残で「仕事はあるが働かない」風習のせいか、素晴らしい観光資源にもかかわらず町の中はわかりにくく不親切にできている。

 今年の会議は当初のアジェンダを変更して、トランプ政権の評価に多くの時間を費やした。レポーター役の米国ハドレー氏もトーンについて期待を含ませるか切り捨てるか頭をかかえ、直前まで報告を書き換えていたという。結局、成果を見ると必ずしも悪いばかりではなくもう少し見守る必要があるというのが基調報告のトーンであったが、予想された通り欧州からの評価はさんざんであった。他方アジアからは、意外にうまくいった首脳会談を含めて一定の成果を評価する声が多かった。


 さて、2月のコラムを見返してみると、 "Check & Balance"の重しが働くこと、その結果、極端な移民規制、オバマケアの廃止、予算の組み替え、税制改正など国内政策は簡単には進まないこと、さらにいずれにせよ米国経済の基調の強さから経済は順調に推移すると思われることはおおむね想定通りである。

 期待と不安が半ばしていた外交については、特にアジア外交について、中国との関係など秀逸の出来栄えである。これは心配していた通貨・貿易分野にも予想外の安心材料となっている。サミットで保護主義との戦いに対し一定の理解を示したこと、地球温暖化についてもいったん態度を保留したことも、それなりの成熟のサインともみられる。最終的に地球温暖化協定を破棄するとの決定をしたが、地球温暖化は元来党派的色彩の極めて強い問題であり、米国の国内政治上は驚くにはあたらない。

 誤算だったのは、個人の気質問題の根深さである。トップビジネスマン上がりの唯我独尊的行動は予想されたところではあるが、都合の悪い事実はFake Newsとして否定し、その失敗から学ばず情緒的行動を繰り返す点は想像を超えている。この点については、期待していた長期的戦略を支えるチームの形成の遅れとあわせ、予想を超えたものとなっている。


 最後に今後に向かって再度予測をしてみよう。

 次の節目は第一期の4年間力を保持し続けられるかを占う中間選挙である。最大の関心はすでに盛り上がっている弾劾をめぐる動きとなろう。素養と適正を疑問視する声は巷にあふれているが、他方弾劾へのハードルは低くない。また、補欠選挙では敗北はなく、40%弱の岩盤的支持を持っていることも明らかになった。ただ抑制のきかない性格から、中間選挙に向かって司法妨害などそれなりの事実が積み上がり、弾劾の賛否を問うような選挙になる可能性もなくはない。

 他方北朝鮮、中東を中心とする、現在の地政学的不安定さは尋常のものではない。ここから先は、このような米国の国内的な動きを吹き飛ばすような大事件が事態を大きく変える可能性も大きい気がしている。