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2012.10.12

知財問屋 片岡秀太郎商店 第83回『 右脳インタビュー 』より

知財問屋 片岡秀太郎商店に掲載

  • 林良造
  • 理事・特別顧問
    林良造

片岡:今月の右脳インタビューは林 良造さんです。本日は、巨大な成長市場でありながら、各国の財政を圧迫する医療問題を中心にお伺いしたいと思います。

林:   医療の分野では、世界の中でアメリカだけが全く構造が違います。アメリカは基本的には自由価格の市場で、いい物を作れば高くても買う人がいて、その為の私的な保険もあります。このため医療費はGDP比17%に達します。一方、日本やヨーロッパは公的保険がカバーする代わりに価格は国がコントロールしていて、GDP比8~10%超程度です。今後、マーケットが増えるかと言うと、政府予算ですので、どちらかと言うと財政赤字を抑えようという傾向があり、高齢者が増えていく中での需要の拡大には必ずしもマッチするものではないでしょう。

片岡:グローバル化の中でこの二種類のマーケットは長期的に共存可能でしょうか。

林:   この点は国の基本哲学にかかわるものなので併存状態は簡単には変わりません。以前は比較的国境の壁がはっきりしていて、企業も人もあまり動けませんでしたが、今は、日本の医療技術でも、企業はヨーロッパで申請して安全基準を通し、その後、アメリカで高い価格で売り初めて...そのうち日本人もアメリカに行って治療を受けるというようなことが行われています。つまり、すべてが国境を越えて動くようになったということです。これを先進的医療という観点からみると、保険の価格が抑えられてイノベーションが反映しないように歪むとその国の医療の進歩がなくなりますが、かといって野放図に国民負担を増やしていくわけにもいきません。ですから効果に応じた価格付けをするフォーミュラを皆で作っていかないと、どの国も最新の技術が手に入れられないか財政赤字で破綻するかということになります。それがHTA(Health Technology Assessment)という活動で、イギリスで始まり世界に広がっています。


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