本文へスキップ

2013年4月9日(月) 15:00-17:00開催 場所:キヤノングローバル戦略研究所 会議室

CIGS Workshop「Achieving Fiscal Balance in Japan(日本における財政収支バランス達成シナリオ)」開催報告

2013年4月9日、International Senior Fellow Dr. Selahattin ImrohorogluがCIGS会議室において、研究発表を行いました。

130409_imrohoroglu_photo.jpg 130409_kobayashi_photo.jpg 130409_workshop_photo.jpg
(左からDr. Imrohoroglu、小林氏)

発表資料
発表資料(オリジナル:英語)(PDF:1.4MB)
発表資料(和訳版)(PDF:1.4MB)


開催概要
題目: 「Achieving Fiscal Balance in Japan(日本における財政収支バランス達成シナリオ)」
発表者: Dr. Selahattin Imrohoroglu (International Senior Fellow, CIGS / Academic Director and Assistant Dean, IBEAR MBA Program, Marshall School of Business, University of Southern California)
モデレーター: キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 小林 慶一郎


スピーチ概要
 高齢化に直面している日本は、先進国の中でも公的負債のGDP比が最も高い国になっている。今後、政府はさらに財政支出を増やすと予想されており、こうした中で、日本国債(JGB)がグローバルな問題を惹起するのではないかという懸念が生じている。
 今回の研究では、ミクロ・データに基づいて、年齢、性別、雇用形態、収入および保有資産における個人の違いを組み込み、日本の年金制度の詳細を取り入れた大規模な世代重複モデルを構築した。家計消費状況調査のデータに基づいて、個人の属性別に各年齢の消費・所得プロファイルを推計し、完全なマーケットを前提にしつつ、これらのプロファイルを用いて、政府の税収および移転支出(年金などの移転所得のための支出)を算出した。2010年の主なマクロ経済指標に照らして上記モデルを調整した。そのうえで、既存の年金制度、財政状況、および想定される出生率と余命を使って、JGBの残高および年金収支の時系列的な変化を予測した。
 その結果、政府の純借入に占める年金と非年金(年金以外の財政支出)の赤字額は、今後数年間はあまり変化することなく、対GDP比でそれぞれ約4%であることが分かった(図参照)。一方、利払い費は、国債の実質金利が低水準である現在の経済環境では、純借入に占める割合は低い。
 2014~2015年に消費税率が5%から10%に引き上げられるのに伴い、非年金赤字は大きく改善するものの、その後、非年金の移転支出と医療支出の増加に伴って、徐々に増加し始める。年金赤字は、当初大きく低下し、2030年代半ば頃まで緩やかな低下が続くが、2030年代後半頃から再び増加し始め、その後、安定的に推移する。一方、国債の利払い費は、低金利が続くにも拘らず、債務残高が莫大になるため、政府の借入金に占める割合は拡大していく。
 これらの結果は、単一の政策だけでは財政の持続可能性を大きく改善することが難しいことを示唆している。分析結果から、1)更なる年金制度改革、2)女性の労働参加を促進する政策の2つが特に重要であることが分かった。

           130409_imrohoroglu_graph_j.png



CIGS Workshopとは、キヤノングローバル戦略研究所の研究員が各自行っている研究・分析の中間発表会で、アドバイザーを含む研究所メンバー及び共同研究者等の外部コメンテーターからコメントをもらい、今後の研究に生かしていくために開催されているものです。