本文へスキップ

2011年4月25日(月)15:00 - 16:30開催 場所:新丸ビル9階 コンファレンススクエア Room 902A

CIGS Workshop 「二次元ランダムウォークとしてみた三通貨間のレート変動」 大西研究員

本研究では、外国為替市場の高頻度ティックデータを用いて、ドル円市場、ユーロドル市場、ユーロ円市場のレートを分析した。これらの三つのレートは、三次元空間上の点として表現できる。

発表風景


発表内容紹介
 近年、情報化・グローバル化により世界全体のつながりが強くなり、市場間の連動性が重要になっている。たとえば、ドル円市場、ユーロドル市場、ユーロ円市場の各レートは、それぞれ独立に動いているわけではなく、相互に相関して変動している。しかしながら、外国為替市場の実証研究では、この相関を無視した単一の為替レート(たとえば円ドルレートだけ)に注目した分析がほとんどである。
 本研究では、外国為替市場の高頻度ティックデータを用いて、ドル円市場、ユーロドル市場、ユーロ円市場のレートを分析した。これらの三つのレートは、三次元空間上の点として表現できる。為替レートには、円を売ってドルを買い、そのドルを売ってユーロを買い、そのユーロを売って円を買うという循環取引を行っても、お金が増えることはない(三角裁定機会は存在しない)という性質がある。この性質を用いると、三つのレートの変動は、三次元空間上の運動ではなく、二次元平面上の運動として捉えることができる。たとえば、円ドル市場において円高・ドル安方向に動くとき、円ドル市場だけで判断するなら、円の価値が上がったのか、ドルの価値が下がったのかは、相対的なもののため区別がつかない。しかし、ユーロドル市場とユーロ円市場も考慮して二次元平面上の運動として捉えると、各通貨の価値の変動を定量的に計算することが可能になる。さらに、どの通貨が市場を主導しているか、あるいは、どの通貨とどの通貨が連動しているかの分析も可能になる。
 時期を区別してこのような分析をした結果、牽引する通貨や連動する通貨を特定することができた。また、ニュース・イベントの発生に応じた市場の変化を捕えることができた。通貨間の連動性を加味して為替レートの変動を理解する上で、これらの結果は重要な知見になると考えられる。



CIGS Workshopとは、キヤノングローバル戦略研究所の研究員が各自行っている研究・分析の中間発表会で、アドバイザーを含む研究所メンバー及び共同研究者等の外部コメンテーターからコメントをもらい、今後の研究に生かしていくために開催されているものです。