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2018.08.20

構造改革推進を巡る不協和音と中国中央政府の冷静な対応~日中関係の改善を背景に日本企業の対中投資が様変わりに積極化~<北京・武漢・上海出張報告(2018年7月15日~28日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 本年2Qの実質GDP成長率は前年比+6.7%と、前期(同+6.8%)に比べて伸び率がわずかに低下。先行きは金融リスク防止政策の影響で、インフラ投資の伸び悩みが続くが、民間設備投資、不動産開発投資、消費等の堅調持続が支えとなって、通年では6.7%前後と政府目標(6.5%前後)を上回るとの見方が多い。内需(消費+投資)の寄与度は同+7.4%と前期に続いて昨年(通年で+6.3%)を上回る伸び。

◇ 年後半の主な不確定要因は米中貿易摩擦のみであり、投資、消費は安定を保持する見通し。先行きの下振れリスクは小さいと見られている。

◇ 米中貿易摩擦の影響については、漠然とした不安が広く共有されるに留まっている。中国政府は大人の対応をとる可能性が高いとの見方が多く、強硬姿勢で報復を継続し、本格的な貿易・経済戦争にまで深刻化するとの見方は少ない。

◇ 不動産開発投資は、3~4級都市の不動産在庫がほぼ適正水準まで低下したため、今後は堅調に推移する見通し。

◇ 金融リスク防止策の推進に対して政府外部からの不協和音が出てきているが、政府関係部門の間では意見の不一致は見られておらず、関係部門で協力しながら共通目標の達成に向けて協調している。

◇ 金融リスク防止策の推進に伴い、中小企業を中心に民間企業の資金調達難が深刻化しつつある。大手行では、リスクの高い中小零細向け貸出を極力制限しているため、シャドーバンキング、ネット金融等の資金調達ルートが閉ざされると、中小零細企業は他に代替の資金調達方法はなく、再びヤミ金融に戻るしかない。

◇ 中国による技術移転政策に関して、欧米企業は引き続き反発が強いが、日本企業はこれをそれほど強く懸念していない。中国製造2025の対象分野についてはむしろビジネスチャンスと受け止めている日本企業が多い。

◇ 日本企業の対中投資スタンスは年明け後、様変わりに積極化しつつある。とくに日系大手自動車メーカーの積極化が大きな話題となっている。ある邦銀幹部は2000年代前半の対中投資ブーム当時の広州市の状況に比べても、今の武漢の日系企業の投資拡大姿勢はそれを上回る勢いが感じられると評価。

◇ この間、中国の中央地方政府は李克強総理の5月訪日を機に日本との経済交流積極化に向けて大きく舵を切ったように見える。


構造改革推進を巡る不協和音と中国中央政府の冷静な対応~日中関係の改善を背景に日本企業の対中投資が様変わりに積極化~<北京・武漢・上海出張報告(2018年7月15日~28日)>PDF:615.9 KB

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