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2014.11.27

不動産投資は当面減速するが、中国経済全体は中高速成長を持続<北京・深圳・上海出張報告(2014年10月27日~11月7日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 第3四半期の実質成長率は前年比+7.3%と、前期(同+7.4%)を若干下回った。輸出が回復に転じた一方、消費は堅調を維持、投資は伸び率鈍化傾向が持続。

◇ ネットショッピングの急増を背景に東部沿海部の物流産業が目覚ましい発展を示している。2010年以降、GDP成長率に占める内陸部の寄与率が東部を上回って増大し続けていたが、昨年以降再び東部の寄与率が高まる傾向が見られる。

◇ 経済の現状は、不動産投資の伸び鈍化を中心に景気下押し圧力が存在しているが、物価が安定しているほか、財政・金融政策両面において景気刺激策発動余地が大きいことから、「コントロール可能な範囲内」にある。来年も成長率の緩やかな鈍化傾向が続き、7.0~7.3%に落ち着く可能性が高いとの見方が一般的。

◇ 中国政府は今も不動産価格の下落ではなく、不動産価格の上昇が加速することの方を警戒している。このため、本腰を入れた景気刺激策は採らず、マクロ経済政策全体としてはややきつめの政策運営を持続している。来年以降不動産市場が回復に転じると見られているが、不動産価格の急上昇が生じる可能性は低いと予想されている。

◇ 政府関係者等は構造改革の進展が遅れているとの認識をもっていない。ある政府高官は、「習近平主席の改革実行の決心は強い。2014年は改革設計元年である」と語った。構造改革は、これまでの行政や法律の枠組みでは処理しきれないものが多く含まれているため、関係部門間の調整やそれに絡む法整備の作業量が非常に膨大かつ複雑である。現在は政府の各部門は実行開始前の準備作業に追われているとの評価。

◇ 金融自由化と上海自由貿易試験区については、改革推進のために必要な関係部門間の調整やそれに絡む法整備の作業を一応終えて、実際に改革の実行に着手している。そこで中央政府や地方政府において、また新たな問題が生じて改革の実行が遅れるといった事態が生じている。これは、来年以降、実際に改革の実行に着手すると、予想外の問題に直面し、改革がスムーズに進まないリスクがあることを物語っている。

◇ APEC直前の段階で、中国国内のテレビ放送で日本の映画等が放送され、ラジオ番組では日本の歌の特集が組まれた。また、南京大虐殺犠牲者哀悼のために作成された南京大虐殺特集番組の放送も中止されるなど、文化面でも対日政策の変化が見られた。

◇ 中国では日本旅行ブームが続き、1~10月の中国人訪日客数は201万人、前年比80%増に達した。今後も高い伸びを保つことが予想されており、来年は中国人訪日客が韓国、台湾を上回って最多となる可能性が高いと見られている。


不動産投資は当面減速するが、中国経済全体は中高速成長を持続<北京・深圳・上海出張報告(2014年10月27日~11月7日)>PDF:502.1 KB

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