本文へスキップ

2014.10.20

日米中関係を巡る多様な見方と日本が直面する課題<米国出張報告(2014年9月22日~10月3日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 米中関係は、本年4~5月以降厳しさを増し、7月に北京で開催された米中戦略・経済対話でも重要な進展は殆どなく、10月も同様の状況が続いている。11月に北京で開かれるAPECでの米中首脳会談を機に改善に向かうことが期待されている。

◇ 米国の国際政治の専門家の間には米中関係に関し2つの異なる見方がある。一つは、現在は過去最悪の状態またはそれに近い状態にあるという見方である。これに対して、現在の米中関係は悪くはないという見方もある。それは、習近平政権が米国に対して強硬な姿勢を示している状況を考慮すれば、米中両国の間で現状程度に必要な対話ルートを確保できていれば満足すべきであるという考え方によるものである。

◇ 中国政府が設立を準備しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、米国政府はこれを世銀・IMF体制に対するチャレンジとみなし、同盟国が参加しないことを期待している。これに対して、一部の中国専門家は、発展途上国が必要としている資金を、AIIBを通じて中国に負担させることが得策であると考えている。

◇ 11月の中間選挙において共和党が上下両院で過半数を取ると予想する向きが多いため、TPP交渉の行方は中間選挙後の共和党の考え方次第であると見られている。共和党は自由貿易推進派ではあるが、次の大統領選との関係で不透明要因が多い。

◇ 安倍政権に対する評価は総じて高いが、歴史認識問題に関する不信感は払拭できておらず、これが日中・日韓関係悪化に関する日本側の問題点としても捉えられている。

◇ 安倍総理は来春にも米国訪問を予定していると言われている。もしその機会を捉え、戦後70年の節目の年に日本の総理大臣として初の米国議会演説を行い、米国と世界に向けて歴史認識問題を語れば、安倍総理の名前は歴史に刻まれると見られている。

◇ ワシントンDCにおいて日本企業や日本政府の意思決定の遅さがボトルネックとなり、日本の情報発信力を低下させている。この問題点は以前から指摘されており、官民に関わりなく日本の多くの大組織が共通に抱える構造欠陥である。その解決には、組織のトップが現地に足を運び、自分の目で見て実情を理解し、その上で現地への十分な権限委譲と委譲するのにふさわしい人材の配置を行うことが必要である。

◇ 現在、日本政府が拉致問題に関連して進めている北朝鮮に対する経済制裁等の独自のやり方に対して、米国内では批判的な見方もある。しかし、日本が米国と異なるやり方で北朝鮮に関与engageすることは、むしろ望ましい。日本の行動が6か国協議の枠組みの中で目指しているラインから多少ずれているとしても、現在は米国のやり方と日本のやり方がいい役割分担になっていると見る専門家もいる。


日米中関係を巡る多様な見方と日本が直面する課題<米国出張報告(2014年9月22日~10月3日)>PDF:427.6 KB

同シリーズコラム

同シリーズコラムをもっと見る

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポートをもっと見る

海外情報・ネットワーク その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

コラム・論文一覧へもどる