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2014.05.09

安定が続く中国経済と政経分離に向かう日中経済関係<上海・重慶・北京出張報告(2014年4月14日~4月26日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 第1四半期の実質成長率は前年比+7.4%と、前期を若干下回った。コンポーネント別にみると、消費の寄与度が増大し、投資の寄与度が低下する傾向が続いている。

◇ 万一経済が失速する懸念が生じれば、財政・金融政策両面から景気刺激を行う様々な手段を用いることが可能であるため、当面、景気失速を懸念する見方はない。

◇ 中央政府の殆どの部門が本音ベースでは成長率が7.2%以上であれば問題ないと考えている。しかし、表面上は「7.5%前後」という本年の政府目標を重視している。これは将来の成長率に対する国民の期待、コンフィデンスを低下させないようにして、民間レベルの経済活動を活性化させたいと考えていることによるものである。

◇ 第1四半期の都市部の雇用労働者新規増加数は344万人と、前年を+0.6%上回った。同期の都市部の有効求人倍率は1.11と、既往最高の水準に達した。

◇ 第1四半期の消費者物価は、前年比+2.3%と、四半期ベースでは、2012年第2四半期以降、8期連続で上昇率が3%を下回る安定した状態を保持している。

◇ 不動産市場について、価格上昇の続く1~2級都市では引き続き金融・投資の両面から不動産投資抑制策を維持する。一方、価格下落が見られる3~4級都市では不動産投資抑制策を緩和するのみならず、各都市の状況に応じて、必要なセイフティーネットも提供し、ハードランディングを防止する対策を採る方針。

◇ 日本企業の対中直接投資は、第1四半期の前年比が-47%と大幅に減少。しかし、実態は中国国内での自動車販売が好調のため、自動車関連を中心に対中投資姿勢が積極化している。邦銀によれば、今年は前年を10~20%上回る勢いで伸びる見通し。

◇ 中央政府(国務院)機関に属する経済関係部門等の複数の中堅幹部との面談において、中国政府は現在、日本との交流に関して政経分離の方針を採っていると見ていいか確認したところ、ほぼ全員が即座に肯定した。

◇ 上海、北京、重慶等中国主要都市で日本旅行ブームが続く中、日中関係改善、日中経済交流促進の両面から見て、中国人に対するビザ発給規制の緩和は急務である。

◇ 金融自由化推進のためには預金保険機構の設立が必要である。預金保険機構が設立されれば、一定金額以下の預金は保護されるが、それを上回る預金は保護されなくなる。このため、預金者は金融機関の破綻リスクを意識せざるを得なくなることから、預金保険機構の設立と共に、預金者の意識が急速に変化する可能性が高い。それが中小金融機関のリスクを表面化させることが懸念されている。


安定が続く中国経済と政経分離に向かう日中経済関係<上海・重慶・北京出張報告(2014年4月14日~4月26日)>PDF:573.9 KB

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