本文へスキップ

2014.03.28

安倍総理の靖国参拝の波紋と日米中韓関係<米国出張報告(2014年2月24日~3月7日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 昨年12月26日の安倍総理の靖国神社参拝は初めて生じた問題ではなかった。昨年4月の歴史認識発言により信頼が一度揺らいだことがあった。しかしその後、安倍総理が米国の意向を十分理解して信頼回復に努めてきたことを米国側は高く評価し、安倍総理に対する信頼が回復していた。それだけに今回、歴史認識に関する2度目の問題に直面し、米国側のショックは前回に比べて大きかった。

◇ 多くの米国有識者は日米関係に関する不安材料は安倍総理の靖国参拝問題だけではないと指摘した。安倍総理に近いと言われる政府関係機関の幹部等が歴史認識問題に絡んで政府の公式見解とは異なる趣旨の発言を相次いで行っていること、さらには安倍政権がそれらの発言を容認しているかのような印象を与えていることが懸念されている。

◇ 安倍政権の下で着々と日米同盟の強化が進みつつある中で、日米韓3国の強固な協力体制の構築を目指す米国政府の意図を日本政府がどの程度理解し、認識を共有しているのかがわからなくなり、米国側が懐疑の念を抱いた。

◇ 現在の日米関係を改善するには、4月に予定されているオバマ大統領の訪日の成功がカギとなるとの見方は多くの学者・有識者の間で一致している。成功の条件として、日本政府が歴史認識問題等により日中関係を悪化させる行動や発言を繰り返さないことが重視されている。加えて、村山・河野両談話の具体的な内容を総理自身の言葉として公式の場で発言することが最低限必要であるとの見方もある。

◇ 防空識別圏(ADIZ)は元々戦時の備えとして設定されたものであり、平時のためのものではない。また、本来これは政府が外国の意向に関係なく一方的に設定することが大前提であり、周辺国がこれを受け入れるかどうかを考慮する問題ではない。このような性格のものを平時に適用したままになっている状態を放置することは危険である。米国政府が即座に自らイニシアティブをとって、国際的な共通認識に基づく新たなルールの体系を構築するべきであるとの指摘がある。

◇ 米国でも多くの中国専門家は習近平主席が党内政治基盤を確立したと見ている。しかし、一方で重要ポストを独り占めした結果、すべての重要決定が習近平主席によって下されなければならなくなった。これほど多くの重要ポストで直面する様々な課題を正確に理解し、的確に判断して決定するには多大な時間と情報量が必要となるが、習近平主席一人で裁くには、あまりにも仕事量が多すぎることから、各種重要改革の進捗が停滞することが懸念されている。


安倍総理の靖国参拝の波紋と日米中韓関係<米国出張報告(2014年2月24日~3月7日)>PDF:480.3 KB

同シリーズコラム

同シリーズコラムをもっと見る

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポートをもっと見る

海外情報・ネットワーク その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

コラム・論文一覧へもどる