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2013.11.13

三中全会を前にして中国経済は引き続き良好で安定した状態を維持―上海自由貿易試験区と日本企業の対中投資再拡大の予兆―<北京・西安・上海出張報告(2013年10月21日~11月1日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 第3四半期の実質成長率(前年同期比)は+7.8%と前期(同+7.5%)に比べてやや上昇。雇用、物価とも安定的に推移しており、マクロ経済全体としては引き続き良好で安定した状態を維持している。

◇ シャドーバンキングの実態が徐々に解明されるにつれて、リスクの大きさがコントロール可能な範囲内であることが明らかとなってきたことから、一時の過度な懸念は後退した。加えて、7月以降、当局による監視が一段と強化されたため、シャドーバンキングの残高の拡大テンポもスローダウンしたと見られている。

◇ 北京、上海等の1級都市、天津、重慶等の2級都市では、今後も人口流入が続くことが見込まれているため、当面は不動産価格が下落する可能性は殆どない。温州、オルドスなど3~4級都市の一部では各地の様々な特殊事情により不動産価格が下落するリスクがある。ただし、成長率が7%前後を維持している限り、日米欧のバブル崩壊時のように国内全域で同時発生的に不良債権問題が深刻化するリスクは殆どない。

◇ 大手邦銀に対する日本企業からの対中投資に関する相談件数が新規進出・増産投資ともに増加している。同時に、投資を検討する産業のすそ野も拡大しつつある。しかも、単なる相談の段階を終え、実務や法制度の研究段階や、来年前半の投資実行を目指した準備の動き等も増加している。こうした動きから見て先行きは再び対中投資が増加に向かう可能性が高いと考えられる。

◇ 三中全会のコミュニケの文章はさほど目新しい内容にはならないとの見方が多い。習近平政権の重大な責務の中味は明らかであり、その殆どが前政権から先送りされた課題である。重要なことは三中全会後に本当に必要な改革を断行することである。

◇ 上海自由貿易試験区のプロジェクトに着手した目的は以下の3点であると見られている。第1に、将来のTPPへの参入を意識してそのために必要な準備を整えること。第2に、習近平政権の重要課題である構造改革推進の目玉プロジェクトとすること。第3に、実施が遅れている金融改革を加速するための足掛かりとすること。これらに加えて、上海市としては外資企業の誘致を促進することも重要な目的である。

◇ 上海自由貿易試験区は事業や政策を試験的に実践し、それが成功した場合には全国展開することが重要な目的とされている。この目的遂行のため、上海自由貿易試験区管理委員会は国務院直属ではなく上海市所属の方が望ましいと判断された。


三中全会を前にして中国経済は引き続き良好で安定した状態を維持―上海自由貿易試験区と日本企業の対中投資再拡大の予兆―<北京・西安・上海出張報告(2013年10月21日~11月1日)>PDF:551.2 KB

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