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2013.08.15

中国経済は安定を維持、シャドーバンキングのリスクはコントロールの範囲内<北京・武漢・上海出張報告(2013年7月22日~8月2日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 第2四半期の実質成長率(前年同期比)は+7.5%と2期連続で低下。景気は緩やかな下降局面にあるが、雇用、物価とも安定的に推移しており、マクロ経済全体としては良好で安定した状態を維持していると見られている。

◇ 現在の習近平政権では雇用の安定さえ確保されていれば、7%成長を防衛ラインと考える「保7」という考え方が新たなスタンダードとなっている。

◇ 中央政府のマクロ経済政策関係者の間では、現在の中国経済にとって望ましい成長率は7.0~7.5%との考え方が共有されている。現在の景気の緩やかな下降局面は潜在成長率の低下に沿った適切な変化であり、政府は景気刺激策によって無理に成長率を引き上げるべきではないとの判断が大勢である。

◇ 4月下旬時点に比べて、中央政府内部の政策責任者、エコノミスト、民間エコノミスト等の間に、習近平・李克強政権のマクロ経済政策運営能力に対する安心感が広がっている。しかし、今後の構造改革の実行力については未知数と見られている。

◇ 不動産投資、インフラ建設に対する現在の当局の厳しい管理の下では、シャドーバンキングが巨額の不良債権を生むリスクは当面は小さい。当面、リスクがあるのは、地方の中小企業関連の小型で高利回りの理財商品と見られている。しかし、そうした案件は規模が小さいため、金融機関全体のシステミックリスクにつながるほど大きなダメージをもたらす可能性は低い。以上から見て、シャドーバンキングの内包するリスクは、当面はコントロールの範囲内に留まると考えられている。したがって、当面はシャドーバンキングが巨額の不良債権を生み、中国経済をハードランディングに追い込むリスクは小さいと考えられる。

◇ 本年上半期の日本の対中直接投資は前年比+15.1%と、前年同期の伸び+16.7%に近づいている。日本の対中投資は昨秋以降の尖閣問題の影響を受け、前年割れまたは少なくとも伸びの鈍化を予想する見方が一般的だったが、ほぼ前年並みの伸びを保った。

◇ 最近武漢に進出している日本企業は初めて中国に進出する企業が少なく、他の地域にすでに進出済みの企業が内陸部の販路拡大のために進出するケースが多い。そうした企業は中国国内市場では尖閣問題の影響が軽微である実情をよく理解しているほか、中国リスクに対する肚も据わっているため、尖閣問題発生後も従来と変わらないテンポで進出企業の増加が続いていると考えられる。


中国経済は安定を維持、シャドーバンキングのリスクはコントロールの範囲内<北京・武漢・上海出張報告(2013年7月22日~8月2日)>PDF:458.1 KB

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