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2013.05.10

「東京=ケンブリッジ・ガゼット:グローバル戦略編」第49号(2013年5月)

小誌は大量の資料を網羅的かつ詳細に報告するものではない-筆者が接した情報や文献を①マクロ経済、②資源・エネルギー、環境、③外交・安全保障の分野に関し整理したものである。紙面や時間の制約に加えて筆者の限られた能力という問題は有るが、小誌が少しでも役立つことを心から願っている。

  • 栗原 潤
  • 研究主幹
    栗原 潤
  • [研究分野]
    米国情報・ネットワーク

 小誌3月号(No.47)で"Gresham's Law"に触れたが、3月の英国出張ではCityのGresham Streetに在る友人のオフィスで世界経済について語り合った。話題は日本にも及び、友人達は"Abenomics"に関し、高橋是清による"Takahashi-nomics"になぞらえつつ多くの質問をしてきた。これに対し筆者は、たどたどしく頭の中のかすかな記憶を頼りに--中村隆英先生のご著書(『戦前期日本経済成長の分析』や『明治大正期の経済』等)を中心に--答えたが、自国の経済史に関する知識不足に深く恥じ入った次第である。ただ確かなことは当時のTakahashi-nomicsによっても設備投資の盛り上がりや対外収支の改善には課題を残した点だ。こうした理由から、日本の成長戦略の成否が重要であるということは誰もが認めるところであろう。

 これに関してビジネス・スクールINSEADの友人が、同校のマンフレッド・ケッツ=ド=ブリース教授の言葉を引用し警告してきた--「ジュン、Gresham's Law of Creativityを知っているだろ。Conformists drive out creative people. 今は新しい考えをはぐくむ人を大切にし、海外の情報を積極的に吸収する必要があるが、これはconformist societyの日本にとって難しい課題だ」、と。筆者の反論は次の通りだ--「そうかも知れない。が、シュンペーター先生は"たとえ伝統的・慣習的思考が不適切になったとしても、また優れた新しい思考が別段問題を起さないとしても、我々は、古臭く慣れた思考にいつまでも流されてゆく"と書かれた。だから問題なのは国籍ではなく、結局は個々人の意志と能力さ」、と。我々は如何に困難であっても新しい考えを速やかに制度、組織、更には製品・サービスに具現化してゆかねばならない。

 さて、ロンドンのSt. James Squareに在るNaval and Military Clubでは、英国海軍の退役将校である知人とグローバル時代の日英関係を語り合った。嬉しいことに、2人ともボストン生まれでオックスフォード大学の故アーサー・マーダー教授のご著書(Old Friends, New Enemies: The Royal Navy and the Imperial Japanese Navy, Strategic Illusions, 1936-1941, Oxford University Press, 1981)を愛読していたことを知った。そして今、21世紀における日英間のNew Partnershipを考えている。


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