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2013.02.13

習近平体制下の中国経済動向および尖閣問題後の日中関係<北京・重慶・上海出張報告(2013年1月21日~2月1日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇第4四半期の実質成長率(前年同期比)は+7.9%、2012年通年では+7.8%だった。景気は8月でボトムを打ち、緩やかな回復傾向が続いている。消費者物価、不動産価格とも安定的に推移しており、足許のマクロ経済は非常に良好な状態が続いている。

◇本年の実質GDP成長率見通しを伺うと8.2~8.5%との見方が多く、前回10月出張時(8.0~8.2%)に比べて若干上方修正されている。

◇習近平政権が取り組むべき当面の政策課題は、過剰設備の削減、「国進民退」(国有企業優遇政策)の見直し、金融自由化の推進等である。これらの実現には市場メカニズムによる淘汰が有効だ。しかし、行政手段の活用により権限を拡大してきた役所、既得権益を得ている国有企業および民間企業等が市場化に対して強く抵抗する。

◇習近平が打ち出した綱紀粛正に関する8条規定は高い評価を得ている。これにより習近平政権の求心力が高まり、役人や既得権益層の抵抗を打破して改革を推進するために必要な強いリーダーシップを発揮しやすくなることが期待されている。

◇重慶市は成都市とともに西部地区西南部の発展をリードする機能が期待されている。本年末は重慶-上海、来年は重慶-成都間の高速鉄道が開通する。市内の地下鉄・電車網の整備も急ピッチに進められている。従来重慶市は交通の便の悪さが最大の課題と言われていたが、今後急速に交通インフラの改善が進む。

◇重慶市は薄熙来時代を上回る評価を目指し、外資企業誘致に積極的である。重慶市両江新区はとくに日本企業の進出を強く期待している。その理由は、①一旦進出すると撤退しない、②企業業績がいい、③従業員の人材育成に熱心の3つである。

◇尖閣問題の日本企業への影響は改善方向に向かっている。12月の自動車販売は前年の8割程度まで回復し、その他の産業では一部の例外を除き、ほぼ尖閣問題発生前の状況にまで戻った。地域的には上海以南と北京以北では大きな差があり、上海以南、とくに広東省では自動車販売を含め影響は殆ど消えている。

◇尖閣問題に対する安易な妥協は日中両国とも国内世論が許さないことから、政治的な妥協は極めて難しい。時間をかけて事実上棚上げの状態に戻していくことが現実的な解決策である。そのうえで特に重要なのは武力衝突を招くような摩擦を引き起こさないよう日中双方が協力することである。政治・外交面では現状維持の状態を長く保ちながら、地道に経済・文化交流を強化していくことが重要である。


習近平体制下の中国経済動向および尖閣問題後の日中関係<北京・重慶・上海出張報告(2013年1月21日~2月1日)>PDF:578.6 KB

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