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2013.01.25

従来型の投資主導型・景気拡大が続く中所得国の罠の回避が新政権の課題

ダイヤモンドオンラインに掲載(2013年1月17日付)

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係
◆8%台の緩やかな回復

 中国経済は2012年8月にボトムを打ち、緩やかに回復しつつある。工業生産、固定資産投資、消費といった主要経済指標を見ると、いずれも9月以降反転上昇している。消費者物価も6月以降2%前後で安定的に推移しており、マクロ経済は良好な状態で推移している。
 足許の景気回復には主に3つの要因が働いている。第一に、12年4月以降の金融緩和と積極財政を背景に、地下鉄、道路建設など地方のインフラ投資が増加し始めている。第二に、5月以降、不動産価格が上昇に転じたため、先行きの値上がり期待が高まり、不動産投資が回復しつつある。第三に、経済のサービス化も大きな支えとなって雇用が増加し、賃金も上昇して所得を増大させ、堅調な消費を支えている。これらの3つの要因は今後も景気を押し上げ続ける。
 足許の景気回復に続いて、13年4月以降、習近平政権の政策が本格始動するに伴い、大型のインフラ建設等国家プロジェクトが動き出す。このため、来年は従来型の投資主導の形で景気拡大が続く見通しである。
 ただし、先行きは欧米向け輸出の伸び悩み、不動産取引規制の継続が予想されることに加え、リーマンショック後の超金融緩和によって、急速に拡大した銀行貸出が不良債権化しており、その処理が13年にピークを迎えるなど、景気拡大の足かせ要因が残る。このため、13年の回復は緩やかなものとなり、成長率は8%台前半に留まると見られている。


◆新味のない新政権の経済政策

 12月15、16の両日、13年の経済政策の基本方針を策定する「中央経済工作会議」が北京で開催された。足許のマクロ経済情勢が安定していることから、同会議で決定された方針はマクロコントロールより、経済構造改革の方に力点が置かれている。しかし、そのメニューを見ると、内需主導型成長モデルへの転換、消費拡大促進、農業問題への対応、過剰設備の抑制、イノベーション促進、都市化の後押し、国民生活水準の向上などで、新味はない。
 習近平政権に求められているのは、新たな政策メニューの追加ではなく、これまでメニューとして掲げられながら、実行が先送りされてきた政策を地道に実践することである。地味な仕事であるが、既得権益層の抵抗を抑え込まなければ実現できないため、非常に難しい任務である。その難しさがよくわかっているがゆえに、多くの専門家は未知数の習近平氏の政策手腕を静観する姿勢を取っている。

 

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