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2012.08.14

堅調を持続する中国経済と日本企業の対中投資動向<北京・上海・武漢出張報告(2012年7月16日~27日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 本年前半の経済減速には3つの要因がある。第一が不動産取引規制、第二が昨年から本年3月までの金融引き締め、第三が外需の減少である。とくに不動産取引規制は「川上」業種と耐久消費財関連の両方にマイナスのインパクトを及ぼし、足許の経済減速の最大の要因となっている。

◇ 先行きについては4月以降の金融緩和と本年入り後の雇用情勢の安定の2つが今後の景気下支えの要因となると考えられている。金融緩和によりすでにインフラ建設の増大と不動産市場の回復が見られ始めている。このため中央政府関係者、現地のエコノミスト等は第2四半期をボトムに第3四半期以降回復に向かうとの見方が多い。

◇ 不動産取引規制については、政治的な要因および経済的な副作用の大きさを考慮すれば、早期解除は難しいと見られている。その経済減速効果が今後も続くことを前提とすれば、今後の回復テンポは緩やかなものにとどまると予想されている。

◇ 6月と7月の利下げの際に貸出金利の下限も引き下げられた。現時点では中資系大手国有銀行への影響は比較的軽微と見られるが、中期的には徐々に貸出金利のディスカウントの動きが広がっていくことが予想されており、金融機関収益が圧迫される状況は徐々に厳しさを増していくのではないかとの見方が多い。

 ◇ 乗用車の売れ筋車種の価格を見ると、2年前は5万元前後だったが、現在は10万元前後となっており、中国市場のボリュームゾーンは上方に大きくシフトしている。

 ◇ 日本企業の多くは依然、沿海部に留まっており、武漢、重慶等内陸部主要都市に進出する事例は少ない。しかし、最近は広東省から北上して江西省、湖南省の南部へ、あるいは上海市、江蘇省から長江沿いに西へ向かい、安徽省へと進出する企業が見られ始めている。

 ◇ 石原都知事による尖閣諸島購入発言により日中関係は悪化している。今のところ中国に進出している日本企業のビジネスへの影響は見られていないが、いずれ何らかの影響が生じることを懸念している企業は多い。石原発言に対して「日中関係に極めて重大な危機を招く」と懸念を表明した丹羽大使の発言を、中国で勤務する殆どのビジネスマンは支持しているが、そうした意見を公の場で表明することを控えている。このため、一般の国民は事実を理解することができなくなっている。

 ◇ 武漢市の高い成長率を支えているのは、インフラ建設と不動産開発投資の高い伸びである。私自身がこの1年間に訪問した沿海部、内陸部の主要都市の中で比較すれば、武漢市の建設ラッシュが最も活発であるように感じられた。

 

 

堅調を持続する中国経済と日本企業の対中投資動向<北京・上海・武漢出張報告(2012年7月16日~27日)>PDF:530.5 KB

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