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2012.07.13

【1】西北部中核都市西安の経済情勢【2】広東省経済と日本企業<西安・広州・香港出張報告(2012年6月19日~27日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

【1】西北部中核都市西安の経済情勢:強まる沿海部と内陸部のリンケージ
【2】広東省経済と日本企業:日系企業は規模や競争力により二極分化の方向

◇ 陝西省の本年第1四半期の成長率は13%(中国全体では8.1%)、第2四半期もほぼ横ばいの推移を辿ると見られている。年後半は金融緩和政策効果の浸透やインフラ関連工事の着工・完成等を背景に、成長が加速する可能性がある。

◇ 陝西省は「西部大開発」プロジェクトを背景に昨年までの5年間は平均14.9%という極めて高い成長率を実現した。今後2020年まで平均10~11%の成長率達成を計画しており、中国全体の平均成長率(おそらく6~8%)を大きく上回る成長を続ける見通しである。陝西省は今後も西部地域の中核地域の1つとして中国経済の高度成長のリード役としての役割を担うものと予想される。

◇ 高速道路、地下鉄、空港等のインフラ建設については地方政府が資金調達の役割を担う。このため金融緩和政策が採用されると資金調達が楽になり、工事の進捗が促進される。本年4月以降、中国人民銀行が金融政策を緩和方向にシフトしていることから本年後半にはこうした交通運輸インフラ建設が加速する見通しである。

◇ 西安市の産業立地上の唯一の問題は交通の便が悪いことだった。しかし、2006年以降、高速道路の開通によりその問題が解消されたため、最近は優良企業の進出も増加。北京や上海から西安に回帰または新規に流入してくる人材が増えている。

◇ 西安市では総合保税区を含む中核的物流基地と経済開発区の建設に注力している。同市は優秀な人材を確保しやすいというメリットもあり、今後内陸部での事業拡大を目指す日本企業にとっても投資先としての魅力が高まっていくと考えられる。

◇ 交通運輸インフラの発達を背景に沿海部と内陸部の生産が相互に影響を及ぼしやすくなり、沿海部と内陸部の経済のリンケージが強まっている。こうした生産拠点分布や物流網の構造的な変化を背景に、数年前までは外需からの独立性が強かった内陸部の経済が、次第に沿海部経由で間接的に外需の影響を受け易くなっている。

◇ 広東省は輸出比率が高いため、最近の欧州向け輸出の減少を背景に本年第1四半期のGRP(域内総生産)成長率は7.2%と全国を若干下回った。輸出企業の業績悪化は、広東省の消費マインドにも悪影響を及ぼしている。しかし、国内販売に特化している自動車メーカーは欧州危機の影響をほとんど受けることなく好調を維持している。

◇ 欧州向け輸出のウェイトが高い事務機メーカーは厳しい状況に追い込まれており、とくに技術力の向上が見られない日系中小企業については、今後倒産或いは撤退を余儀なくされる企業が相当数に達すると予想されている。

 

【1】西北部中核都市西安の経済情勢【2】広東省経済と日本企業<西安・広州・香港出張報告(2012年6月19日~27日)>PDF:481.1 KB

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