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2012.05.11

堅調を持続する中国経済の現状と日本企業の対中投資動向<北京・上海・温州出張報告(2012年4月15日~26日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 第1四半期の成長率は8.1%とやや減速したが、景気減速を心配する状況ではない。

◇ 第1四半期が今年の成長率のボトムで第2四半期以降伸び率が高まるとの見方が多い。政府関係者は本年の成長率を8.5~9.0%の間に着地すると見ている。

◇ 政府関係者の物価の先行きに対する見方は楽観的ではない。通年の消費者物価上昇率は、3%程度で収まる可能性は極めて低く、むしろ4%を切ることすら難しいと見ている。

◇ 金融政策は引続き「穏健な引締め」スタンスを維持する方向にある。金融引締めの枠組みを維持する中で、今後も預金準備率の引下げ、銀行の貸出増加額の増大等を通じて金融政策が緩和方向へと変化することは確実であると見られている。

◇ 不動産価格は沿海部主要都市を中心に下落している例が目立っている。しかし、実際の不動産需要は衰えていない。価格が下落しているのは殆どが都市の中心部から遠い郊外であり、主要都市の市街地中心部は下落していない。むしろ北京、上海の市街地ではオフィス、サービスアパートの需給がタイト化し、賃料が上昇している。

◇ 政府が不動産取引規制を解除する際には不動産価格の急騰リスクが懸念される。

◇ 本年4月以降、金融自由化を促進するいくつかの施策が実施された。しかし、金融自由化に向けて本格的に動き出すのは次期政権移行後の2013年以降と言われているうえ、金利、為替レート、資本移動の自由化実現までの道のりは長いと見られている。

◇ 昨年から急増している日本の対中直接投資は足許1~3月も引き続き高い伸びを続けており、今年も日本企業の直接投資増大の勢いに衰えは感じられない。

◇ 企業が中国市場で成功するポイントは以下の3点と考えられる。第一に、市場ニーズを的確に把握し、中国国内のニーズに合致した製品開発を迅速に行う。第二に、的確なマーケティング戦略により販売拡大を図る。第三に、中国企業あるいは台湾企業等が参入し、大量生産を始める局面が近づいたら、価格急落の前にその市場から撤退する。

◇ 経済産業省の現地支援策は現地の実情を把握せず、短視眼的である。また、日本政府全体として業界横断的な日本企業支援策が弱いと指摘されている。

◇ 温州市では中小企業の資金繰りが悪化しているため、経済が減速し全国平均に比べて見劣りしているが、リーマンショック直後に沿海部主要都市が受けた打撃に比べれば、それほど悪い状況でない。

◇ 薄熙来重慶市書記解任により、今年は同市の重要プロジェクトのスローダウンは避けられないと見られている。しかし、両江新区開発等国家の重要プロジェクトは引続き中央政府のサポートにより強力に推進される。したがって、重慶市の経済への影響は短期的なものにとどまり、中長期的には大きな影響はないとの見方が多い。


堅調を持続する中国経済の現状と日本企業の対中投資動向<北京・上海・温州出張報告(2012年4月15日~26日)PDF:424.9 KB

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