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2012.01.31

良好な状態にある中国経済の現状と先行きの見通し-<補論>北朝鮮に対する中国専門家の見方-<北京・上海出張報告(2012年1月9日~1月20日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 昨年第4四半期の成長率が8.9%に減速したのは、金融引締め等マクロ政策効果の現れであり、政府の期待に沿う方向で景気減速が実現したものである。インフレ圧力も沈静化しつつあり、「短期的には非常に良好な状態にある」との見方が大勢である。

◇ 足許の良好な経済情勢を眺め、中国政府は昨年12月、インフレ抑制最重視の政策方針を転換した。新たな政策運営方針は、成長率確保、経済構造転換、インフレ抑制の3つの課題についてバランスをとりながら経済政策運営を目指すものである。

◇ 本年の経済成長率は9%に近い成長を予想する見方が多い。

◇ 政府関係者は本年の消費者物価上昇率について通年で4%前後を予測する見方が多く、物価の先行きに対する慎重な見方を崩していない。このため今後の金融政策運営は引続き「穏健な引締め」の基本スタンスを維持しながら緩和していく方針である。

◇ 不動産取引規制は今後も継続される見通しであるため、本年前半は不動産開発投資の伸び率低下が予測されている。不動産取引規制の継続・停止の判断は国家指導者層の政治判断に委ねられているため、その終了時期は予測が難しい。

◇ 税収不足を不動産開発収入で補填してきた地方政府は財政バランスが悪化していく可能性が高い。それに加えて、地方政府は融資平台に起因する不良債権の債務処理を迫られており、それが地方財政を圧迫しつつある。

◇ 先行きのダウンサイドリスクは、欧州金融不安、地方財政問題、インフレ圧力である。

◇ 中国政府関係者や有力民間エコノミストは、現在高度成長期の真只中にある中国経済ではバブル崩壊に伴う不良債権問題の深刻化は起こり得ないとの見方で一致している。

◇ 昨年急増した日本企業の対中投資の勢いに変化の兆しは見られず、本年も昨年に続き高い伸びを示す可能性が高い。足許は自動車、建設機械の売上の伸びが鈍化あるいは減少しているが、これは市場のサイクルであり、先行きの市場拡大については全く心配する必要はない。

◇ 中国ビジネス成功の鍵は本社の経営体制にかかっている。社長-副社長-中国現地経営トップの3人の連携が緊密で、意思決定が早く、現地に権限移譲が行われている企業は業績を伸ばしている。さらにグローバル化を推し進めている企業では、現地の主要部門のトップに中国人を任命しているほか、現地の人事評価基準を日本の本社とは切り離して、中国の基準で評価し、目覚ましい業績につなげている。

◇ 中国は朝鮮半島の安定化を強く望んでいる。そのゴールは朝鮮半島の非核化の実現と北朝鮮の経済発展である。金正恩政権は方向としては軍事より経済重視の方向に向かうと考えられる。それを促すためにも、政権基盤が安定するまでは外部から不用意に刺激しないようにすることが必要である。


良好な状態にある中国経済の現状と先行きの見通し-<補論>北朝鮮に対する中国専門家の見方-<北京・上海出張報告(2012年1月9日~1月20日)>PDF:472.5 KB

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