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2011.07.06

中国経済、日本企業の中国ビジネスの最近の変化<北京・広州・天津現地取材報告(2011年6月20日~29日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 5月の消費者物価上昇率は前年比5.5%に達した。6月はさらに上昇し、6%台に乗せるとの見方が大勢である。7月以降もあまり物価上昇率は低下せず、通年でも5%を上回るとの見方が多いと言われている。

◇ 足許のマクロ経済動向を見ると、金融引き締め等を背景に過熱感は徐々に後退の方向に向かっている。しかし、大幅な賃金上昇、食料品価格の上昇、国際商品市況の上昇、高い成長率など、インフレ圧力が依然根強いことから先行きの物価動向は引き続き予断を許さない状況にある。

◇ 日本では引き続き中国の不動産バブルの崩壊を懸念する見方があるが、当面その心配は遠のいている。北京、上海、広州等の主要都市では政策効果の浸透から、不動産価格急騰の動きは影を潜めている。

◇ 中国現地の日系企業は部品供給不足のため、震災直後は年末までフル生産は難しいとみられていたが、結果的には大幅に回復時期を繰り上げることができる見通しである。各社とも年間の生産計画は年初以来変更しない方針。

◇ 震災後、部品供給が滞る中、日系企業がサプライヤーの一部を日系企業から中資系企業に乗り換えた事例が見られた由。このような動きが日本経済の空洞化を招くと懸念されている。しかし、その一方で、中国国内企業や消費者のニーズの高度化に伴い、中国企業では生産できない日本企業の高品質な製品・サービスに対する需要が増大している。日本経済にとって現時点では、中資系企業への乗り換えにより生じるデメリットより新たな需要増大によってもたらされるメリットの方が大きいと考えられる。

◇ 今年も賃上げ圧力は強く、自動車部品メーカー等でストライキが発生した。しかし、今年は長期化することなく、どこも1日以内に収束したため、生産には大きな影響が出ていない。労使双方において昨年の経験からの学習効果が見られていることが、ストライキの減少、およびストライキの短期収束といった大幅な改善につながった。

◇ 台湾系、中資系製造業では沿海部から内陸部に移転する例が目立っているが、日系企業ではそうした事例は見られていない。最近は内陸部の給与水準が沿海部に近づいており、内陸部に工場を移転すると、借地料、輸送コストを含むトータルコストはかえって高くなるため、日系企業は今のところ内陸部シフトのメリットを感じていない。

◇ 最近、中資系地場自動車メーカーの中で、日系部品メーカーから部品を調達する動きが広がっている。中国の所得水準向上に伴う消費者ニーズの高級化を背景に、中資系企業も新たな高付加価値化対応を迫られているためである。ここに日本企業の新たなビジネスチャンスが大きく広がる可能性があると考えられる。


中国経済、日本企業の中国ビジネスの最近の変化<北京・広州・天津現地取材報告(2011年6月20日~29日)>PDF:454.2 KB

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