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2011.06.14

最近の日米中関係について<米国出張報告(2011年5月23日~6月3日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

<主なポイント> 

○ 震災後の日本人の対応について、我慢強さ、モラルの高さ、思いやり、治安の良さ等が称賛されている。今回の震災後の日本に対する米国人の同情や心配する気持ちは過去に例のないほど強く、そして長続きしている。 

○ 日本での原子力政策の失敗は米国の原子力政策への影響も大きい。このため米国のエネルギー政策関係者等を中心に、日本が福島原発の問題に対してきちんと対応し、必要以上に米国一般市民の不安感を駆り立てないようにすることを期待している。 

○ 日本政府と東京電力に対する評価は非常に厳しいが、その他の日本企業への評価は依然高いままであり、ジャパンブランドは傷ついていない。むしろサプライチェーンの早期回復などにみられた日本企業の危機対応能力の高さが改めて世界中に認識され、日本企業の評価が高まっている。

○ 米国有力金融機関のチーフエコノミストは巨額の累積財政赤字を抱える日本政府のファイナンスそのものが大丈夫なのかとの懸念が強い点で一致している。 

○ 米軍が自衛隊と共に震災直後の被災者救援活動で多大なる成果を挙げ、高く評価された。これは日米関係改善にとっても大きな意義のある成果だった。しかし、日米両国の内政事情等から、この成功を土台として、今後さらなる日米関係の発展に向けた大きな枞組みの構築へと踏み出すまでにはある程度時間を要すると見られている。

○ 米中関係は昨年9月をボトムに明確に改善してきている。2009年11月以降、様々な出来事を背景に、米中関係は悪化の一途を辿った。しかし、その後、米国からの関係改善に向けての働き掛けを受けて、米中双方が歩み寄る形での改善が進んでいる。

○ 今回の米中戦略経済対話において、米国は米中関係改善のさらなる進展を重視し、中国が突っ込まれたくないテーマに関する議論を意図的に避けた。その結果、戦略安全保障対話とアジア太平洋協議という2つのプロジェクトのスタートが合意された。

○ 今回、米中アジア太平洋協議に絡んで米国政府は日本に一言も言及しなかった。これは「日本がどんな国を目指し、どのような外交方針を掲げ、具体的に何をしたいのかが見えない」ことが原因であると見られている。日本はこの状況を深刻に受け止め、早期打開に向けて努力することが必要である。

○ 足許は米中関係の改善が進んでいるが、今後米中関係が一本調子で改善し続けることはありえない。米中間での競争と協力とが混在した関係が続くと考えられている。

 

最近の日米中関係について<米国出張報告(2011年5月23日~6月3日)>PDF:410.2 KB

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