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2011.03.11

最近の日米中関係について<米国出張報告(2011年2月21日~3月3日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

<主なポイント>

○ 1月の胡錦涛国家主席の訪米は事前の期待度が低かったことから、その期待度を前提とすれば成功だった評価されている。しかし、米中間の重要課題に関する実質的な進展はなかった。唯一の成果は、一昨年11月のオバマ大統領の訪中後、悪化の一途を辿ってきた米中関係が、当面はこれ以上悪化しないことを確認できたことである。

○ オバマ政権は昨年11月の中間選挙での敗北後、景気停滞、高い失業率、巨額の財政赤字といった内政問題への対応を政策課題の中心に置かざるを得ない状況にある。2012年秋の大統領選挙を考えると、今は内政問題の解決への取り組みが最優先課題である。一方、胡錦濤政権も2012年以降の後継者問題が決着するまでは内政面への慎重な配慮が必要であり、外交問題においてリスクを冒して米中間の懸案の解決に着手することは難しい。したがって、今後2012年秋までは米中関係改善に向けた大きな進展は期待しにくいとの見方が多い。

○ 最近の中国の強硬な外交姿勢の背景は、第1に、中国の自信の高まりである。中国政府上層部が友好的な外交を展開しようとしても、中国のプレゼンス拡大を期待する国民世論がそれを許さない状況になっている。第2に、政権の支配力低下である。対外強硬路線を主張する各方面の意見を政府が抑えることが難しくなっている。

○ 中国は世界経済の回復、環境保護、省エネルギー技術等の問題を重視しているが、米国はそれらの問題において世界の主導的な立場に立っていない。これでは中国が米国のグローバルリーダーシップに対して懐疑的にならざるを得ない。 ◇ 中国においては当面、北アフリカ・中東諸国に見られるような政変につながる政治的騒乱が勃発する可能性は極めて低いと見られている。しかし、貧富の格差の拡大、不動産価格の高騰、食品を中心とするインフレ、厳しい言論統制、役人の不正・腐敗などを巡り国民の政府に対する不満は蓄積している。エジプトの混乱が予期せぬ形で拡大したことを考慮すると、中国といえども安心することはできないのも事実である。

○ 普天間問題により日米両国は建設的な協力関係構築の在り方を話し合うチャンスを逸した。中間選挙でオバマ政権が大敗を喫した現在、最大の関心は内政問題であり、対日外交の優先順位は低下している。日米間で新たなグローバルパートナーシップを構築する次のチャンスは大統領選後になると見るべきであろう。

○ 米国のTPPに対する関心は高いとは言えない。内政面の厳しい状況を考慮すると、TPPが米国の失業を増大させるような内容となることを受け入れることは難しい。

最近の日米中関係について<米国出張報告(2011年2月21日~3月3日)>PDF:405.9 KB

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