本文へスキップ

2011.02.14

中国経済はインフレリスクに直面<北京・上海現地取材報告(2011年1月24日~2月1日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係
<報告の主なポイント>

○ 中国経済は、昨年第4四半期の実質成長率が前年比+9.8%と予想を上回る高い伸びとなった。その背景として、在庫積み増し、貿易黒字の拡大、自動車・家電の駆け込み需要、統計上の誤差等の要因が指摘されている。

○ 本年の経済成長率は9.5~10%に達するとの見方が大勢。押上げ要因は最低賃金引上げによる消費の拡大、インフラ建設や民間設備投資等投資の拡大、省エネ・環境規制の反動等。年前半がとくに高い伸びを示し、後半にかけて徐々にスローダウンとの見方が多い。マクロコントロールが不十分であれば、過熱するリスクもある。

○ 本年の物価見通しとしては、通年で5%前後の上昇率を予想する見方が多い。年前半はインフレ圧力が強く、とくに旧正月(春節)関連需要の高まる第1四半期の物価上昇圧力が強い。景気が過熱すればインフレリスクも高まる。主な物価押し上げ要因は、①大幅な賃金上昇を背景とするコストプッシュと消費の拡大、②食料品価格の上昇、③国際商品市況の高騰、④過剰なマネーサプライなどである。

○ 昨年11月以降CPI上昇率が高止まり、昨秋以降、不動産価格の上昇にも歯止めがかかっていない。この一般物価および不動産価格の上昇の原因は、昨年後半のマネーサプライの抑制が不十分であったためと考えられている。

○ 本年1月末に突然、人民銀行による窓口指導が強化された。このようなやや唐突感のある貸出抑制強化の姿勢の背景には、予想を上回るスピードで高まりつつあるインフレ圧力に対する人民銀行の厳しい認識があるのではないかと見られている。政策決定に関わる政治的背景を考慮すると、今年の中国における金融政策運営は非常に難しいバランスの中での対応を迫られると予想される。

○ 昨年から始まった第4次対中投資ブームは本年入り後も続いている。今回の対中投資ブームの特徴は、第1に、中国国内市場(とくに内陸部)での販路拡大を目指していること、第2に、サービス産業が中心であること、第3に、中国での収益を再投資に振り向ける動きが広がっていることなどである。

○ 日本企業の中国国内市場開拓ニーズが高まっているが、中国の小売・流通業は様々な規制や業界事情が参入障壁があり、日本企業単独での中国市場開拓は極めて難しい。このため国内市場開拓のための中国企業との合弁ニーズが増大している。

○ ここ1~2年、中国の外交姿勢が以前に比べて強硬になっていると言われている。その背景として、国民の意識の変化、利益団体の利害の一致、内政の影響等の要因が指摘されている。

中国経済はインフレリスクに直面<北京・上海現地取材報告(2011年1月24日~2月1日)>PDF:517.7 KB

同シリーズコラム

同シリーズコラムをもっと見る

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

瀬口 清之 その他コラム・メディア掲載/論文・レポートをもっと見る

海外情報・ネットワーク その他コラム・メディア掲載/論文・レポート

コラム・論文一覧へもどる