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2010.12.27

内陸部主要都市は力強い経済発展を持続<武漢・重慶・成都 現地取材報告(2010年12月2日~9日)>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

 <報告の主なポイント>

○ 中国の内需拡大の原動力は投資と消費である。それらを支えるインフラ建設、都市化の進展、雇用機会の増大、賃金上昇等は、第12次5カ年計画(2011~15年)の下、今後ますます内陸部を中心に加速する見通しである。

○ 現時点で開通している高速鉄道(日本の新幹線に相当)は主要幹線のごく一部に過ぎず、重慶、成都には在来線の特急はあるが高速鉄道はまだ通じてない。内陸部では来年以降続々と高速鉄道の開通、地下鉄建設等市内交通網の整備が続く。内陸部におけるインフラ建設に伴う経済誘発効果は、高速鉄道開通後、市内交通のボトルネック解消とともに今後数年以上にわたり徐々に顕現化していくものと考えられる。

○ 武漢、重慶、成都では市内の一部地域が国家級のハイテク産業開発区や経済技術開発区等に指定されている。国家級開発区では技術レベルの高い外資系企業を積極的に誘致しており、それを中央政府もサポートするため、外資系企業の投資進出もスムーズに進み、産業集積の形成が加速される。

○ 重慶市の両江新区は上海の浦東新区、天津の濱海新区に次いで、中国で3番目に指定された国家級の開発開放新区である。これは両江新区が内陸部最大の産業集積地の中核として位置付けられたことを意味する。この両江新区の設置と相俟って、重慶市は本年、北京、上海、広州、天津とともに中国5大都市の1つに指定され、内陸部の中核都市としての位置付けが明確となった。

○ 最近の内陸部における外資企業進出は、これまで沿海部主要都市でビジネスを展開していた企業が内陸部市場の拡大を眺めて内陸部にシフトしてくるケースが多い。

○ 住宅価格、生活費の安い内陸部は沿海部に比べて生活しやすいというメリットが大きく、沿海部から労働力がシフトしてきている。それに合わせて大型優良外資系企業も人材確保を目的とした沿海部から内陸部へのシフトが続いている。

○ 武漢市の日系企業を見ると、本年入り後大きな変化が見られる。昨年まではすでに進出している自動車完成車メーカーの進出が多かったが、今年は自動車関連以外の産業でも中国の国内市場を狙った進出が目立ってきている。

○ 重慶と成都は2007年以来、全国都市農村統合総合改革試験区に指定され、パイロットモデルとして全国に先駆けて都市と農村の統合による格差縮小という課題に取り組んできていた。来年以降、農民に対する低価格賃貸住宅の供給、戸籍制限の緩和、社会保障給付の改善といった具体的な施策が実行段階に入る。

○ 日産は低価格車市場へのチャレンジを表明した。これはゴーン体制下で日産自動車本体が現地への権限移譲と経営の意思決定の迅速化という経営改革を実現した結果、中国における現地調達比率の引上げが可能となったことによるものである。

内陸部主要都市は力強い経済発展を持続<武漢・重慶・成都現地取材報告(2010年12月2日~9日)>PDF:445.7 KB

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