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2018.11.13

日本の100歳以上人口急増に国際会議でどよめきが起きる

CLINIC BAMBOO 2018年11月号掲載

  • 松山 幸弘
  • 研究主幹
    松山 幸弘
  • [研究分野]
    財政・社会保障

 9月23日~26日の期間、マレーシアの首都・クアラルンプールで開催された「医療の質向上のための国際学会」(略称 ISQua)の年次総会に出席した。

 筆者は、開会式の前日に行われた特別シンポジウム「高齢化の津波と医療改革」で意見陳述、閉会宣言の前に設定された出版特別報告で「日本の国民皆保険制度の大成功がもたらした課題」についてプレゼンテーションする機会を得た。出版特別報告は、ISQuaの2018年プレジデントである豪州・マッコリー大学のジェフリー・ブライスワイト教授が中心となって作成した3部作、「医療改革:質と安全」(対象30カ国で15年出版)、「医療制度の改善:60カ国の成功事例」(17年出版)、「医療制度の将来予測」(対象152カ国で18年出版)の完結を記念して行われたものである。この3部作において私はアジア地域の編集者を務めた。

 プレゼンテーションでは、わが国の医療保険制度は高度経済成長期につくられた、非常に給付内容がリッチで特に高齢者を優遇する仕組みになっている、社会保障制度の必要財源が膨張し続けて財政赤字の最大の原因になっている、赤字国債を中央銀行が買うことで制度の資金繰りを回している、25年頃までに国債の買い手が突然消える"国債の札割れ"が起こるリスクが高まっている――ことなどを説明した。

 そのなかで、参加者から一番大きなどよめきが起きたのが、15年に6万1883人であった100歳以上人口が、50年に53万人を超えるを示したときである。昨年公表された将来推計人口によれば、15年に80歳の女性が90歳になる確率は61.6%、100歳になる確率は11.0%である。経済の発展段階にかかわらず、すべての国で高齢化はすでに大きな政策課題になっている。各国の参加者たちがこの図を見て、医療改革による平均寿命延伸の先にある社会を改めて認識したように思えた。

 最大の成果は、マレーシアの民度の高さを実感したことである。たとえば、地下鉄に乗り立っていると、優先席に座っていた若い女性から「どうぞ座ってください」と言われた。私が「自分は65歳だけれどもまだ若いので結構です」と言うと、周りの乗客が皆微笑んでいた。そして、小さな子どもを周りの乗客が守っているような雰囲気もあった。また、どのレストランでも店員の接客マナーがよかった。クアラルンプール市内では、数十カ所の高層ビル建設が同時進行していた。数年後に、家族を連れてまた来たいと感じた次第である。


図 日本の100歳以上人口の将来推計
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(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」から筆者作成

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