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2018.10.15

「危機」が変えた経済モデル-バブル理論などなお課題-

日本経済新聞 「経済教室」2018年10月10日掲載

 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界的な金融危機が発生してから今年で10年となる。米ノースウエスタン大学のローレンス・クリスティアーノ教授らは今年夏の「DSGEについて」という論文で、危機の前後でのマクロ経済学モデルの変化を回顧している。DSGEとは、現代のマクロ経済学の標準的なモデルである「動学的確率的一般均衡モデル」の略称である。

 「嵐の前」すなわち金融危機の前のDSGEモデルは、理想的な完全競争市場を仮定し、そこに「価格の硬直性」を仮定することで、金融政策の効果が表れるとした。このタイプのDSGEモデルは、ケインズ経済学をモデルにしたものという意味でニューケインジアン・モデルといわれ、危機前には金融政策の分析に大学の経済学者の間で広く用いられた。

 これらの分析は、世界金融危機を事前に予測できなかった、と批判される。当時のDSGEモデルは金融システムをほぼ無視していたことが理由だが、クリスティアーノ教授らは、08年以前の米国経済のデータからは金融システムは重要でないように見えたので、それを無視したのは無理もないと弁明している。「100年に1度の危機は対象外」ということだ。・・・



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日本経済新聞 「経済教室」2018年10月10日掲載

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