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2016.02.16

医療・社会福祉法人改革について最新の動向

老年問題研究 Vol.29 2015 に掲載

  • 松山 幸弘
  • 研究主幹
    松山 幸弘
  • [研究分野]
    財政・社会保障
1 .はじめに

 筆者は、2015年3月22日の「長岡医療と福祉の里学会」で「医療・福祉法人改革について」というテーマで講演する機会を頂戴した。これは、2015年の第189回国会に提出された医療法、国民健康保険法、社会福祉法等の改正法律案の重要論点を解説するものであった。ご承知のとおり、その後医療法と国民健康保険法の改正は成立したものの、第189回国会が安保法案審議で時間切れとなったため、社会福祉法改正は2016年に先送りされることとなった。

 一方、筆者は講演内容の論点を詳細に解説した本「医療・介護改革の深層」を7月に㈱日本医療企画より出版した。また、この本の冒頭インタビューに登場して頂いた社会福祉法人聖隷福祉事業団の理事長山本敏博氏を7 月初めに米国バージニア州のセンタラヘルスケアにお連れしトップ会談に同席する機会に恵まれた。センタラヘルスケアは、2013年の「老年問題研究(Vol.27)」に寄稿した中で紹介したとおり、米国内に約500存在するIHN(Integrated Healthcare Network)と略称される大規模非営利地域包括ケア事業体の中で最も経営能力が高いと評価されている組織である。

 筆者は、センタラヘルスケアに2002年以来毎年1~2回日本の医療関係者と共に訪問、そのマネジメントが医療技術進歩と共に進化する様子を観察し続けてきた。そして、米国のIHNの事業構造やガバナンスの考え方が特殊なものではなく医療制度が異なる他の先進諸国にも類似の事業体が存在すること、わが国にも存在することを繰り返し伝えてきた。筆者の予想どおり、山本理事長が聖隷福祉事業団の沿革、成長の歴史、提供しているケアサービス構成、ガバナンス体制等をセンタラヘルスケアの首脳陣に説明した時の先方の最初のコメントは、「聖隷福祉事業団とセンタラヘルスケアはほとんど同じ」であった。

 成立が延期されたものの、社会福祉法改正法律案は原案どおり2016年の国会で可決されると思われる。そのタイトルは「社会福祉法等の一部を改正する法律案」となっているが、"一部"の改正ではなく社会福祉行政の構造を変える大改正である。その概要については2015年3月の学会で解説したとおりであるが、中でも重要なポイントは、余裕財産があると判断された社会福祉法人に社会福祉充実計画の策定と実行を義務付けること、約2万の社会福祉法人の財務諸表の全国データベースを構築することの2つである。

 本稿では、このうち全国データベース構築に伴う課題と意義についてまず論じることとしたい。なぜなら、安倍政権の指示により厚生労働省が2013年度財務諸表を収集分析したはずであるが、2015年11月時点で未だその結果が明らかにされていない。その理由として、社会福祉法人が所轄庁に提出している財務諸表のデータに問題があり一部の法人の集計しかできない、といった事情がある模様である。そこで筆者は、全国社会福祉法人経営者協議会のWEBサイトで公開されている情報を使って集計分析を開始した。・・・


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医療・社会福祉法人改革について最新の動向PDF:1.2 MB

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