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2014.11.07

翻弄される日本のコメ-農政が日本経済と日米関係を危うくする-

「金融財政ビジネス」 (2014年10月23日号掲載)

コメと農協と政治

 米価が昨年より2割ほど低下している。

 早速、農協や政治がうごめき始めた。普通の産業であれば、価格が下がると、利益を確保するために、どれだけコストダウンできるかという業務の見直しを始めるだろう。野菜や果物など他の農業でも同じである。

 しかし、コメは違う。コメを政府に集荷させるために作られた組織が、JA農協だ。農家の圧倒的多数はコメ農家である。農協は、戦後の農地改革で農地の所有権を与えられて保守化した農家を組織し、長期にわたる保守政権を支えてきた。

 その見返りとして、農協は高い米価を求めた。1942 〜95年まで続いた食管制度の下で、政府は農協を通じて生産者からコメを買い入れていた。高度成長期、政府が生産者に支払う米価を引き上げるよう、農協は一大政治運動を展開した。いわゆる米価闘争である。米価が上がれば、農協は肥料、農薬、機械などの農業資材も高く農家に売れる。米価と農業資材価格の両方で、農協は高い販売手数料収入を稼いだ。さらに、銀行業務も行える農協は、政府からいったん受け取った米代金を生産者に支払う前にコール市場で運用して、莫大な利益を稼いだ。

 高い米価は、コストの高い零細な兼業農家を滞留させた。規模の大きな主業農家に農地は集まらず、コメ農業は衰退した。しかし、農業所得の4倍に達する兼業所得も、年間数兆円に及ぶ農地の転用利益も、銀行業務を兼務できる農協の口座に預金され、農協はわが国第2位のメガバンクに発展した。兼業農家から集まった資金は、地域住民なら誰でもなれる准組合員に住宅ローンとして貸し出された。准組合員は年々増加し、農協は、今では農家ではない准組合員の方が多い、〝農業〟の協同組合となった。・・・


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