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2011.11.16

財政再建の「コスト」を測る

日本経済新聞 「経済教室」2011年11月7日掲載

 消費税増税や年金受給年齢引き上げ論議が深まる中で、財政再建に伴う痛みが現実味を帯びてきた。一方、ギリシャを震源とする欧州危機をみれば、財政再建に失敗した場合に経済に何が起きるのか一概には想像しがたい。日本の財政再建を論じる際、これらの経済厚生上のコスト、つまり社会全体の満足度に対する悪影響を想定する必要がある。増税や歳出削減という財政再建による生活水準の低下と、財政が破綻した場合の国民生活の混乱の比較考量である。
 前者の財政再建に伴う経済厚生上のコストについては、最近、研究が進んでいる。増税や歳出削減が起きれば、民間の消費や投資が抑制されるだろう。こうした民間部門の反応を考慮しつつ経済厚生上のコストを考察するのに有用なのが、DSGEとよばれる新古典派一般均衡モデル(キーワード参照)による分析だ。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のゲイリー・ハンセン教授と南カリフォルニア大学のセラハティン・イムロホログル教授は、このモデルを使って日本経済を記述し、財政再建に伴う経済厚生コストをシミュレーション分析した(論文は未定稿)。
 それによると、消費税増税で財政の持続可能性(キーワード)を回復するには、現在5%の消費税率を35%にする必要がある。その経済厚生上のコストは国民の消費が恒久的に1・5%減るのと同じだという。また所得増税より消費増税で財政再建する方が望ましいことも示された。・・・


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日本経済新聞「経済教室」2011年11月7日掲載記事PDF:3.3 MB

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