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2012.12.14

あるべきエネルギー政策と選挙公約

  • 湯原 哲夫

 今回の選挙で最大の論点の一つはエネルギー政策であると言える。その重要性は認識されながらも、選挙公約として掲げられているエネルギー政策は「原子力ゼロ」か「脱原子力依存」の一色である。原子力維持や推進を含む選択肢は国民に示されることもなく、また化石燃料エネルギーと再生可能エネルギーの推進とバランスについての明確な政策も示されていない。そこで世界の潮流と日本の現実を踏まえたエネルギー政策について考えてみる。

 まず世界の潮流については以下の3点を想定すべきである。①化石燃料にエネルギー需要の半分以上を依存することは今後とも続き、その役割は大きくは変わらない。②原子力エネルギーは世界の発展にとって不可欠な燃料として、今後とも維持され、その安全性は進化を続ける。③再生可能エネルギーもまた性能とコスト面で進展を続け、経済性と不安定性が克服され、大規模な導入が可能になる。世界の増大し続けるエネルギー需要に対して、進化を続けるエネルギー技術により、化石燃料・原子力・再生可能エネルギーのエネルギー源3種が応分な役割を分担しあいながら共存し、供給されて行く。各国は国益を中心に据え、経済成長を維持し、エネルギー安全保障を確保する。それに適う3種の最適な組み合わせを求め、エネルギー政策の基本とする。一方で、地球温暖化抑制のため非化石燃料の割合を高め、国際協力によって低炭素社会を実現して行こうとしている。

 この世界の流れは世界的な規模で起こっているエネルギー・イノベーションとリンクしている。シェールガス革命と高効率利用技術により、天然ガスの黄金時代の到来が予測されている。バッテリー革命と再生可能エネルギー利用技術の進化が大規模な再生可能エネルギーの導入を可能にするであろうし、新世代の革新的な原子炉の開発と建設が進行中で、安全性と持続可能性について進展しながら維持されて行くであろう。

 今、我が国のエネルギー政策に求められていることは、経済成長、安全保障、地球温暖化抑制をエネルギー政策の3要件とし、世界の流れと日本の状況を踏まえた上で、明確な政策と具体的施策について国民に提案することである。それを選挙公約で示し、その是非を問うことが今求められているのではなかろうか。

 エネルギーを取り巻く日本の状況は、かなり厳しいと言わざるを得ない。その理由をいくつか述べる。①化石燃料の高騰と輸入増加により貿易収支の赤字が続いていること。②地球温暖化抑制のための温室効果ガス削減に関する国際公約が達成困難である現状。③固定価格買取制度により再生可能エネルギーの導入促進が図られるようになったものの、国際的に見て、設定された買取価格が非常に高く、買取価格の早晩の見直しが必要になるのではないかとの懸念があること。④さらには海外からの安い再生可能エネルギー機器の殺到が、自主開発で高い技術を維持してきた国内産業に危機をもたらす懸念があること等である。

 現在、エネルギー政策として国民に提言すべきことは、まず我が国が熾烈な資源・エネルギーの生存競争の最中にあり、日本は高い産業技術力によって経済を維持し、エネルギーの安全保障を確保していかなければ、生存への道はないということである。この事実を改めて国民に説得すべきである。

 その上で、我が国の高効率でクリーンな火力発電技術、高品質な製造・建造技術をもつ原子力発電技術、及び自主開発基盤に支えられた高効率な再生可能エネルギー技術をもって、経済・安全保障・温暖化抑制をバランス良く配慮した中長期のエネルギー構成を示すことである。それはまた同時に世界の地球温暖化抑制と発展途上国の成長に、エネルギー技術をもって貢献することを意味する。我が国は今後とも産業技術立国を基本とし、安定した低炭素社会を実現することを公約とする、そういう政党が支持されるべきであると考える。

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