外交・安保カレンダー(10月1-7日)

先々週は3泊5日の強行軍で米国の三都市を回ったが、先週は久し振りで台北に行ってきた。台湾のシンクタンクと関係省庁が共催した「アジア太平洋シンクタンク・サミット会合」なるものにお声が掛かったのだ。欧州を含む18カ国・地域のシンクタンクの代表が集まった。台北は久し振りだが、自由な民主主義は健在だった。

会議と食事は朝から夜まで続いたが、深夜になってもついCNNを見てしまう。最高裁判事の指名を受けたBrett Kavanaugh氏に学生時代の性的暴行疑惑が持ち上がり、同判事とその告発者である女性大学教授の二人が上院司法委員会の公聴会で宣誓証言したのだ。米国のリベラル・中道メディアにとっては絶好のネタである。

この泥仕合をどう見るべきかについては、米国人の間でも、老若男女で意見は大きく異なる。筆者が最も注目したことは、ワシントンが相変わらず弱肉強食の「政治闘争」の町であること。1993年にホワイトハウスの法律顧問が、ワシントンは「人々を傷付けることがスポーツである町」と書いて自殺した事件を思い出した。

この点については今週のJapan Timesのコラムに詳しく書いたので、ここでは繰り返さない。簡単に言えば、日本ではこのスキャンダルが中間選挙やトランプ政権の行方を如何に左右するかに関心があるのに対し、米国では女性差別が今も続き、米国政治が男性優位であり続けるとの問題意識の方が注目されているのだ。

17歳の時の暴行未遂らしきものを「若気の至り」と見るか、「重大な女性差別」を捉えるかで結論は大きく異なるだろう。議論は重要だと思うが、その陰で傷付くのは何の罪もない家族である。日本にもこの種のスキャンダルはあるが、#MeToo運動については米国の方に一日の長があるように思う。日本はまだ男性中心社会だと思う。

〇欧州・ロシア
欧州では大きなニュースがない。2日にセルビア大統領が訪露し、プーチン大統領と会う。最近、民族対立が続くセルビアとコソボの間で、互いに関係が深い少数派民族が集まる地域を譲る「領土交換」案が浮上しているそうだ。しかし、そんなことをやっても、いずれ新たな不安定要因となることは目に見えている。欧州不安定の根は深い。

〇中東・アフリカ
イラクの元ミス・バグダッドの女性が殺害された。こうしたリベラルな女性がイラクに出てくるとは思わなかったが、やはりイラク社会の保守性は想像以上だ。こうしたニュースを見ていると、本当にやり切れなくなる。イラク戦争でフセイン政権を打倒して民主主義を導入したことは間違いだったのか。そうは思いたくないのだが・・・。

〇東アジア・大洋州
中国は1日から国慶節、日本では2日に内閣改造だ。米国務長官は先週北朝鮮外相と会談し、10月にも訪朝すると発表された。トランプ氏の米朝首脳会談「前のめり」姿勢は変わらない。先週の国連での動きを見ていると、トランプ政権の優先順位はイランが一番で、中国が二番、北朝鮮問題解決のプライオリティは低いのではないか。

〇南北アメリカ
今週は冒頭書いた最高裁判事候補のスキャンダルで大騒ぎが続くだろう。FBIの調査はどこまで進むのか。それにしても、米国政治がこれほど劣化しても、あの国は何とかなっているから不思議だ。一時絶望視されたNAFTAも結局カナダが参加して三国間合意に戻った。All politics is localというが、米国内政の現状は正にそれだ。

〇インド亜大陸
4日からロシア大統領が訪印する。現在インドは米国との関係を急速に深める中、その兵器はロシアに全面的に依存し続けるというジレンマを抱えている。プーチン大統領は米印間に楔を打つチャンスと考えているだろう。その結果には大いに関心がある。今週はこのくらいにしておこう。

9月17-10月5日 ICAO 第215回Committee Phase(モントリオール)
18-10月1日 第73回国連総会(米国・ニューヨーク)
25-10月1日 国連総会一般討論演説(ニューヨーク)
25-10月2日 対日理解促進交流・カンボジアの高校生が訪日
27-10月7日 2018年インドネシアフェア
29-10月7日 Vientiane International Motor EXPO
30-10月1日 ウズベキスタン・ミルジヨーエフ大統領がインドを訪問
30-10月3日 英国保守党大会(バーミンガム)
1日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ルクセンブルク)
1日 EU8月失業率発表
1-3日 グテーレス国連事務総長がインドを訪問
1-3日 ニュージーランド・ピータース副首相及び外務大臣がタイを訪問
1-4日 欧州議会本会議(ストラスブール)
1-5日 ワシントン条約 第70回常設委員会 (ロシア・ソチ)
1-5日 UNHCR執行委員会 第69回会合(ジュネーブ)
1-5日 国際人権理事会 人権と多国籍企業等に関する作業部会 第21回会合
1-5日 北方四島における共同経済活動に関する「ビジネス・ミッション」の派遣
1-7日 中国・国慶節
2日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
2日 ブラジル8月鉱工業生産指数発表
2日か3日 ロシア第2四半期需要項目別GDP発表
2-4日 WTOパブリックフォーラム(スイス・ジュネーブ)
3-6日 タジキスタン・ラフモン大統領が訪日
3-10日 対日理解促進交流・カンボジア、ラオス、ミヤンマー、タイ、ベトナムの青少年及び各国サッカー協会役員らが訪日
3-17日 UNESCO執行理事会 第205回会合(パリ)
4日 G20保健相会合(アルゼンチン・マルデルプラタ)
4-7日 第18回ベトナム国際プラスチック、ゴム加工機械展 「VIETNAMPLAS 2018」
5日 米国8月貿易統計、9月雇用統計発表
5日 ブラジル9月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
5日 韓国の李明博元大統領に判決(ソウル)
5-6日 チェコ上院3分の1議席改選(第1次)
5日か8日 ロシア9月CPI発表
6日 ラトビア議会総選挙
6日 ガボン国民議会議員選挙 第1回目投票
6-7日 第7回アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合(東京都内)
7日 ボスニア・ヘルツェゴビナ大統領及び議会総選挙
7日 ブラジル大統領選挙
7日 カメルーン大統領選挙
7日 ペルー州知事及び市長選挙
7日 ファルコン9(SAOCOM 1A)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)

【来週の予定】
8日 米・コロンブスデー(為替、債券市場が休場)
8-9日 第10回日メコン首脳会議
8-10日 第131回EU地域委員会(CoR)(ブリュッセル)
8-11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8-11月2日 自由権規約人権委員会 第124回会合(ジュネーブ)
9日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
9日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
9日 メキシコ9月CPI発表
10日 朝鮮労働党創立記念日(73年)
10日 辛亥革命記念の双十節(建国記念日)
11日 G20財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・バリ島)
11日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
11日 米国9月消費者物価指数(CPI)発表
11日 ブラジル8月月間小売り調査発表
11日 ソユーズFG(第57次および第58次長期滞在ミッション用ソユーズMS-10)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
11-12日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
12日 EU男女同権担当相非公式会合(ウィーン)
12日 メキシコ8月鉱工業生産指数発表
12日 中国第3四半期貿易統計発表
12日 トルコで軟禁中の米国人牧師の審理
12-13日 チェコ上院3分の1議席改選(第2次)
12-14日 IMF・世界銀行年次総会(インドネシア・バリ)
12-21日 TECH MART(ラオス)
14日 ドイツ・バイエルン州議会選挙
14日 ルクセンブルク議会総選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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