外交・安保カレンダー(6月25-7月1日)

そろそろ米朝首脳会談関連報道も食傷気味になった今週の筆者の関心事はトルコのダブル選挙(大統領選と議会選挙)の結果だ。案の定、現職エルドアン大統領の勝利に終わったようだが、どうも気分は晴れない。一体なぜだろう。

24日投開票の大統領選ではエルドアン現職大統領が勝利宣言。選挙後トルコは議員内閣制から大統領制に本格的に移行するが、何のことはない、民主選挙制度の下で2003年から15年も政権を握ってきた大統領の独裁政治が続いているだけだ。

同時に行われた議会選挙でもエルドアンの与党連合が勝利したという。これでは、あのプーチンのロシアと大差ないではないか。開票率99%で得票率はエルドアン氏が53%、最大野党・共和人民党(CHP)のインジェ氏が31%だった。

これがロシアなら諦めもつくが、ここは腐ってもトルコだ。ケマルアタテュルクの時代に世俗主義の下で自由選挙による民主政治が始まり、戦後はNATOにも加盟する中東地域の優等生がトルコだ。その親日性も半端ではない、実に素晴らしい国である。

ある意味では、欧米には属さないがその周辺で欧米の文化や政治制度に(良い意味で)強い憧れを持っていた大国が三カ国ある。ロシアと日本とトルコがそれだ。これら三国は、西欧との接触を続けるうちに、独特の発展を続けてきた。

まずはロシアだが、同国はキリスト教だが、東方教会だからか、カトリックやその宗教改革の結果生まれたプロテスタントとは異なる。結局、共産革命が起きたが、社会主義建設にも失敗し、最終的にソ連崩壊後西欧になり切れなかった国である。

これに似ているのがトルコだ。イスラム国であり西欧とは文化的背景が異なるが、ケマルアタテュルクの革命で世俗化と非イスラム化を進め、NATOに加盟し、更にはEU加盟を目指したが、最終的に挫折した。トルコは永久にEUに加盟できないだろう。

この両国に比べると、日本は近代化に相当程度成功しているように見える。遠い東アジアの国だが、宗教的な要因が少なかったためだろうか、自由主義も、民主主義もそれなりに具現化しているではないか。この幸運を日本人は忘れてはならない。

〇欧州・ロシア
25-28日にボルトン米NSC担当補佐官が英国とイタリアを訪問する。同補佐官はその後モスクワ訪問を計画しており、米露首脳会談の準備を行う予定だといわれる。ボルトンといえば米朝首脳会談には(当然ながら)出席したものの、その準備段階では外されたと噂された。北朝鮮はポンペイオ、ロシアはボルトンという分業なのか?

〇中東・アフリカ
24-28日に英王室のウィリアム王子がヨルダン、イスラエル、パレスチナを訪問する。恐らく英王族としては初めてかもしれない。元々この地域は英国がフランス、ロシアと謀って分割統治した場所で、英国の三枚舌外交がなければそもそも存在しなかった国々だ。健全な常識を持つであろう王子の心境は複雑であるに違いない。

〇東アジア・大洋州
今週は朝鮮半島で大きな動きがない。まあ、これまでが動き過ぎだったのだから良いとすべきだろうが、歴史的な米朝首脳会談から二週間経っても、その先にあるものが全く見えてこないのは心配である。ポンペイオ国務長官が再び訪朝するというが、そんなことを繰り返して進展が期待できるのか、大いに疑問だ。

〇南北アメリカ
先週米国は不法移民の親子分離問題で大揺れに揺れた。ゼロトレランスを純粋に貫けば違法移民の子供たちには刑事責任を問えないから、親とは別々に収容することになる。だが、米国には家族、女性、子供に極めて寛容な伝統が残っているようで、さすがのトランプ氏も折れたようだ。今回はトランプ夫人も珍しく政治的に発言した。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

4-8月24日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト」第5回訓練開始(ナイロビ)
11-29日 国際民間航空機関(ICAO)Council Phase 第214回会合(モントリオール)
18-7月6日 国連人権理事会 第38回会合(ジュネーブ)
20-29日 世界気象機関(WMO)執行理事会 第70回会合(ジュネーブ)
21-28日 河野外務大臣がタイ、ブータン及びインドネシアを訪問
24-7月4日 第42回ユネスコ・世界遺産委員会(バーレーン・マナーマ)
24-28日 英・ウィリアム王子がイスラエル、ヨルダン及びパレスチナ自治区を訪問
25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
25日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
25日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
25日 メキシコ4月小売・卸売販売指数発表
25日 朝鮮戦争勃発から68年
25か26日 ロシア5月雇用統計発表
25-26日 アジアインフラ投資銀行(AIIB)第3回年次会合(ムンバイ)
25-27日 米・ボルトン大統領補佐官が英伊露を訪問
25-7月13日 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)第51回会合(ニューヨーク)
26日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
26日 EU基本条約第50条(加盟国の離脱)に関する一般問題理事会(ルクセンブルク)
26日 米国連邦議会予備選挙(コロラド、メリーランド、ニューヨーク、オクラホマ、ユタ)
26日 メキシコ5月雇用統計発表
26日 小笠原諸島返還50周年
26日 「平成30年度在京大使館等向け防災施策説明会」の実施
27日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
27日 パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)第3回閣僚級会合(バンコク)
27日 メキシコ5月貿易統計発表
27-29日 軍縮問題諮問委員会 第70回会合(ニューヨーク)
28日 ECB一般理事会(フランクフルト)
28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28-29日 欧州理事会(ブリュッセル)
28日 米・ポンペイオ国務長官が訪韓
28日 米国第1四半期GDP(確定値)発表
28日 一帯一路サミット(香港)
28-29日 欧州理事会(ブリュッセル)
29日 米国5月個人所得・支出(商務省)
29日 ブラジル5月全国家計サンプル調査発表
29日 ファルコン9(スペースX社商用補給機ドラゴン15号機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
7月1日 オーストリアがEU議長国に就任
1日 米国大統領貿易促進権限(TPA)法による米大統領の通商権限期限(議会が承認した場合には2021年7月1日まで延長可)
1日 メキシコ大統領選及び連邦上院下院選

【来週の予定】
2日 EU5月失業率発表
2-3日 国連経済社会理事会 実質会期(ニューヨーク)
2-4日 包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)第50回会合(ウィーン)
2-5日 欧州議会本会議(ストラスブール)
2-6日 国際海事機関(IMO)理事会 第120回会合(ロンドン)
2-27日 自由権規約人権委員会 第123回会合(ジュネーブ)
3日 オーストラリア準備銀行理事会
3-6日 MTA Vietnam 2018(ホーチミン)
4日 米・独立記念日で米市場休場
4日 ブラジル5月鉱工業生産指数発表
4-5日 東方石油・ガスフォーラム2018(ロシア・ウラジオストク)
6日 米国5月貿易統計、6月雇用統計発表
6日 FOMC議事要旨
6日 ブラジル6月IPCA発表
6日か9日 ロシア6月CPI発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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