外交・安保カレンダー(3月26日-4月1日)

先週からトランプ政権の人事が大揺れに揺れた。詳しくは今週木曜日の産経新聞コラムをお読み頂きたいが、トランプ氏は最近急速に選挙モードに戻りつつあるようだ。米朝首脳会談を受け入れた日の翌9日、トランプ氏は2020年大統領選スローガンを「偉大な米国の維持」と決め、4日後のペンシルベニア州下院補選に向け動き出した。

人事面ではティラーソン国務長官、マクマスターNSC補佐官を解任し、後任に対外強硬派のポンペイオCIA長官とボルトン元国連大使を指名した。貿易問題ではコーンNEC委員長に代わり、対中強硬派のナバロ通商製造業政策局長が影響力を拡大した。ロシアゲート捜査が進む現在、トランプ氏は特別検察官の解任を検討中ともいわれる。

要するに、トランプ氏は中間選挙と2020年の大統領選再選に向け、選挙モードを再び全開させ、本気で戦う気のようだ。気の早い内外メディアは米朝会談の場所を予測し始めたが、首脳会談実現の可否よりも筆者が懸念するのは、トランプ氏がより強硬で妥協を嫌う顧問たちと外交安保政策を立案・実行する可能性だろう。

ちなみに、英国での元ロシア工作員の毒殺事件で、26日、米国はロシア外交官60人の追放に踏み切った。イタリアを除くEU主要国の制裁措置に倣ったものだが、日本はどうなのか。NATOメンバーとしての対応と日本は違うということなのだろうが、日本がこのままで良いのかは国会等での議論に値するだろう。

もう一つ、筆者が気になるのは26日から始まるエジプト大統領選挙だ。開票結果は4月2日にならないと発表されないが、シーシ大統領の再選は見えている。筆者がエジプトでアラビア語研修していた際の大統領選挙は得票率とサダト大統領への得票がそれぞれ95%を超えていた。あれよりはましと言うことか。そうではないだろう。

あれから40年、アラブの春なる幻想が一時一世を風靡したこともあったが、結局、民意で選ばれたムスリム同胞団の政権は統治能力の欠如を曝け出して崩壊した。エジプトの民意は熱し易く冷め易い。何十年経っても、安定した中産階級や市民社会は生まれない。やはり、エジプトは永遠であり、そう簡単には変わらないのか。

〇欧州・ロシア
26日に英国のEU離脱問題の中でも敏感な問題であるアイルランドとの国境問題が議論される。26-27日にはアフガニスタン和平問題がウズベキスタンの首都で開かれる。27日からは中国外相が訪露し中露外相会談が行われる。米国務長官が不在の中、中露外交当局間の話し合いの内容が気になるところだ。

〇東アジア・大洋州
26日には上海エネルギー市場で人民元建ての原油先物市場の取引が始まる。どの程度定着するのか、無関心ではいられない。27日に日本財務省の佐川前理財局長が国会で証言する。この話は安倍政権の将来を占う意味で諸外国でも注目されている。29日にはミャンマーで大統領が選出される。
同じく29日に板門店で南北朝鮮会合が開かれる。4月1日には紆余曲折があったものの、結局は米韓合同軍事演習が月末まで実施されるという。空母が参加しないなど規模が縮小されたとはいえ、演習は演習だ。北朝鮮が今黙っているということは、北朝鮮が政治モードに入っているということ。北のプロパガンダに騙されてはならない。

〇中東・アフリカ
26日に韓国大統領がアラブ首長国連邦訪問を終える。エジプトの大統領選挙については冒頭触れた通り。30日にはパレスチナ地域で大規模なデモが予定されているが、米国によるエルサレム首都認定の悪影響はあまり感じられない。アラブ側も余りに長期化したイスラエルの西岸ガザ占領が当たり前になってしまったのだろうか。

〇南北アメリカ
米東部時間25日夜、ストーミー・ダニエルスというポルノ女優がCBSテレビの看板報道番組に出演し、トランプ氏との性的関係を認めた。大統領自身の醜聞は1990年代のクリントン政権以来。当時米国にいたので思い出すが、クリントン氏がこのスキャンダルを生き延びたのはヒラリー夫人の沈黙のおかげだった。トランプ夫人はどうか。

〇インド亜大陸
29日にインド、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、ブータン、スリランカ、タイの国家安全保障担当高官がダッカで会合を開く。ベンガル湾イニシャティブの一環ということだが、中国が入っていないのが面白い。今週はこのくらいにしておこう。


12-4月6日 自由権規約人権委員会(ジュネーブ)
19-28日 対日理解促進交流プログラム・ASEAN10か国、東ティモール及びインドの大学生及び大学院生が来日(東京、長崎)
20-27日 対日理解促進交流プログラム・米国高校生及びユダヤ系米国人の訪日
20-27日 対日理解促進交流プログラム・インドの大学生、大学院生、社会人が訪日
20-27日 対日理解促進交流プログラム・インドの高校生20名が訪日
20-29日 対日理解促進交流プログラム・日本大学生訪韓団(第2団)が韓国を訪問
21-27日 ハネグビ・イスラエル地域協力大臣の訪日
25-26日 堀井外務大臣政務官がモスクワ訪問
25-4月1日 JENESYS2.0 2017年度中国青年メディア関係者代表団第3陣が訪日
26日 トルコ・EU首脳会談(ブルガリア・バルナ)
26日 韓国大統領、国会に改憲案発議
26日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26-27日 「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第2回会合の開催(外務本省)
26-27日 ジュヌ・アフリック主催「アフリカCEOフォーラム」開催(コートジボワール)
26-28日 エジプト大統領選挙
26-28日 G7労働・イノベーション担当相会合(カナダ・モントリオール)
26-28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
27-29日 天皇、皇后両陛下が在位中最後の沖縄訪問
27日 メキシコ2月貿易統計、雇用統計発表
27-29日 フリーランド・カナダ外務大臣の訪日
27-29日 日中犯罪人引渡条約締結交渉第5回会合の開催(東京)
27-30日 平成29年度中東アフリカ大使議会の開催(外務省)
28日 米国2017年第4四半期および年間GDP(確定値)発表
28日 核軍縮に関する国連ハイレベル国際会議 組織会期(ニューヨーク)
28-29日 中国・楊国務委員が訪韓
28-4月8日 ニューヨーク国際自動車ショー(一般公開は30日から)
29日 米・2月PCE物価指数(商務省)
29日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
29日 フランス社会党党首選挙
29日 英国のEU離脱通告から1年
29日 「宮島駐トルコ大使及び香川駐エジプト大使による任国治安情勢講演会」開催(東京)
29日 GSLV-Ⅱ F08(通信衛星GSAT 6A)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
29日 ファルコン9(イリジウム・ネクスト 10機)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
30日 米・グッドフライデー(聖金曜日)で債権・株式・商品市場が休場
30日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
31-4月3日 韓国芸術団が平壌を訪問
4月1日 新車への「eコール」(自動車事故発生時の自動緊急通報システム)搭載義務開始

【来週の予定】
2-6日 アミン国際再生可能エネルギー機関(IRENA)事務局長が訪日
2-20日 国連軍縮委員会 年次総会(ニューヨーク)
3日 オーストラリア準備銀行理事会
3日 ファルコン9(スペースX社商用補給機ドラゴン14号機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
3日か4日 ロシア2017年経済活動・需要項目別GDP発表
3-6日 ASEAN財務相・中央銀行総裁会合
4日 国連経済社会理事会 パートナーシップ・フォーラム(ニューヨーク)
4日 ユーロスタット、2月失業率発表
4-15日 第204回ユネスコ執行委員会(パリ)
5日 米国2月貿易統計発表
5日 ファルコン9(バングラデシュの通信衛星)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)
5-7日 中国清明節休暇
6日 米国3月雇用統計発表
6日 CIS外相会議(ベラルーシ・ミンスク)
6日か9日 ロシア3月CPI発表
8日 ハンガリー議会選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

« 外交・安保カレンダー(3月19-25日) | トップページ | 外交・安保カレンダー(4月2-8日) »

« 外交・安保カレンダー(3月19-25日) | トップページ | 外交・安保カレンダー(4月2-8日) »