外交・安保カレンダー(2月12-18日)

先週平昌五輪が始まった。分断された民族が統一を願う気持ちは良く分かる。しかし、あそこまで北朝鮮に足元を見られる中で、南北対話のみならず、何を勘違いしたか、米朝間対話まで仲介しようとする韓国大統領の姿勢には、公平に見ても、違和感を感じざるを得ない。問題の本質は米朝関係ではなく、米中関係だからだ。

前のめりの韓国は北朝鮮側の思う壺。それにしても、金正恩の妹とはいえ、韓国の大人たちが右往左往し、内外のマスコミが「美女応援団」に必要以上に関心を払うのは、如何なものか。情けない話だ。ジャーナリズムの本質はエンタメ報道ではない。真実を伝える「調査報道」という原点は、韓国の報道関係者には無縁なのか。

かくいう筆者はこの原稿を沖縄県那覇市で書いている。昨日から今日にかけて、名護市辺野古(へのこ)から、同市内中心部、更には高速道路を使わずに、恩納(おんな)村、読谷(よみたん)村を抜け、嘉手納飛行場のフェンスの横を通り、北谷(ちゃたん)町から宜野湾(ぎのわん)市、浦添(うらぞえ)市を抜けて那覇に帰ってきた。

外務省現役時代は、これだけの地名を覚えるのに数カ月かかったが、今は懐かしい場所ばかり。今回は一個人としてレンタカーで走り回ったのだが、フェンスの向こうにある海軍のキャンプ桑江、海兵隊のキャンプフォスター、空軍の嘉手納飛行場などの広大さに久しぶりに圧倒された。沖縄の負担の重さを改めて痛感する。

名護市内では「宮里そば」というお店にふらっと立ち寄った。何とも言えず美味しい麺を堪能した。愚妻と一緒だったが、午後2時過ぎの店内はほぼ満員、他のお客さんは地元の人ばかりだったと思う。つい先日ここで市長選があったとは思えない静けさだったが、これまで8年間、この町には補助金が十分来なかったのだなと直感した。

〇欧州・ロシア
2月中旬は恒例のミュンヘン安全保障会議がある。今年は16-18日に開催されるが、その直前の15-16日にはブルガリアでEU外交理事会の非公式会合が開かれる。また、15日にはポーランドとドイツの首相がベルリンで会談を行うが、最大の議題はロシアからのNord Stream 2パイプラインのようだ。

〇東アジア・大洋州
11日の米副大統領の発言は米国の譲歩の始まりなのだろうか。帰国途上の機上で副大統領は、「最大限の圧力を維持する一方、南北対話の進展次第で、前提条件なしに、北朝鮮と直接対話を行う用意がある」と述べたそうだ。勿論、対話が真に実質的に進展すれば喜ばしいが、非核化問題が動かなければ、北朝鮮の思惑通りだ。
米国の譲歩は日本は勿論、結果的に韓国にとっても悪夢となる。こうなると筆者は1994年を思い出さざるを得ない。当時の宥和政策が繰り返されれば、北朝鮮は間違いなく「核保有国」となる。当時の米国政府は「時は日米韓にあり、北朝鮮の軍事力は今がピーク」と言ったが、実は当時も「時は北朝鮮にあり」だったのではないのか。
16日から中国などでは春節休暇が始まるが、韓国大統領は本気で米国の強硬姿勢を封じ込めようとしているようだ。そうであれば今、日本外交は重大な岐路に差し掛かっている。妥結の見通しのない対話を続けても、北朝鮮は決して妥結させるつもりなどないと思うからだ。

〇中東・アフリカ
先週末、自国戦闘機がシリアで撃墜されたイスラエルは、イランのドローンを撃墜したという。こうした「本格的交戦」に近い状況がシリアで起きるとは長い間予想されなかったはずだ。1967年の第三次中東戦争でイスラエルがゴラン高原を占領して以来、賢いアサド政権は戦線を拡大せず、事実上の停戦が維持されてきたからだ。
これ以上状況が悪化しないことを希望するばかりだが、イランもイスラエルとの直接交戦は望んでいないだろう。今はもう、そう祈るしかない。

〇南北アメリカ
相変らずトランプ氏はロシアゲート問題に関する司法省とFBIの動きを記す極秘報告書公表問題で厳しい戦いを続けている。先々週は共和党側作成文書の公開を認めたが、先週は民主党側文書の公表を拒否したそうだ。一方、スタッフの家庭内暴力問題で大統領首席補佐官の進退が問われている。
元海兵隊大将のケリー首席補佐官はこれまでよく我慢したものだと思う。この件でトランプ氏はケリー氏に激怒しているそうだが、それは違うだろう。万一、ケリー補佐官が辞任するか更迭されれば、トランプ政権は更に弱体化する。トランプ氏の大統領としての真の度量が問われることになる。

〇インド亜大陸
12日、インド首相がパレスチナ、アラブ首長国連邦、オマーン訪問を終え帰国する。今週はこのくらいにしておこう。

6-13日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人高校生一行が訪日
9-12日 インド・モディ首相がパレスチナとUAE、オマーンを訪問
9-25日 第23回平昌冬季オリンピック(韓国・平昌)
10-12日 河野外務大臣がブルネイ及びシンガポールを訪問
11-12日 金杉アジア大洋州局長が中国・広州に出張
11-12日 リオのカーニバル(ブラジル・リオデジャネイロ)
11-16日 米・ティラーソン国務長官がヨルダンなど中東5カ国を歴訪
11-17日 米・マティス国防長官がイタリア、ベルギー、ドイツを歴訪
12日 日シンガポール外相会談(午前、シンガポール)
12日 第4回日フィリピン経済協力インフラ合同委員会会合の開催(フィリピン・セブ)
12日 日タイ両政府主催・第5回グリーン・メコン・フォーラム開催(タイ・バンコク)
12日 インド12月鉱工業生産指数発表
12日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
12-3月9日 平和維持活動に関する特別委員会及びグループワーキング 実質会期(ニューヨーク)
13日 金正男氏殺害から1年
13日 UNウィメン執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
13-19日 堀井外務大臣政務官がスウェーデン、アルメニア及びコソボ訪問
13-19日 佐藤外務副大臣のクウェート及びキューバ訪問
14日 米国1月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会 第41回会合(ローマ)
15日 国連軍縮会議 組織会期(ニューヨーク)
15日 EU教育・若年・文化・スポーツ相理事会(ブリュッセル)
15日か16日 ロシア1月鉱工業生産指数発表
15-16日 ロシア国際投資フォーラム「ソチ2018」
15-16日 ハイレベル核兵器用核分裂性物質生産禁止条約専門家準備グループ 非公式協議
第2回会合(ニューヨーク)
15-16日 韓国旧正月休暇
15-21日 中国春節休暇
15-25日 第68回ベルリン国際映画祭
16日 北朝鮮の故金正日総書記生誕76年
16-18日 ミュンヘン安全保障会議(ドイツ・ミュンヘン)
17日 ファルコン9(地球観測衛星PAZなど)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
17-23日 カナダ・トルドー首相がインドを訪問

<2月19-25日>
19日 ユーログループ(ブリュッセル)
19日 大統領の日(ワシントン誕生日)で米市場休場
19日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
19-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19-23日 国連人権理事会諮問委員会 第20回会合(ジュネーブ)
19-3月9日 女子に対する差別撤廃委員会 第69回会合(ジュネーブ)
20日 EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
20日 国連環境計画(UNEP)常駐代表委員会 第141回会合(ナイロビ)
21日 FOMC議事要旨(1月30-31日分)(FRB)
21-22日 ロシア外相がセルビアを訪問
21-23日 国連独立監査諮問委員会 第41回会合(ナイロビ)
22日 ファルコン9(通信衛星Hispasat 30W-6)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
22-23日 OECD中小企業担当相会合(メキシコ・メキシコ市)
23日 メキシコ第4四半期GDP発表
23日 EU統計局(ユーロスタット)が1月CPI発表
23日 国連非政府組織委員会 定例会合(ニューヨーク)
25日 H-IIAロケット38号機 (情報収集衛星光学6号機)打ち上げ(種子島宇宙センター)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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