外交・安保カレンダー(1月22-28日)

20日にトランプ政権が一周年を迎えた。「まだ一年か」とする人もいれば、「よく一年持った」と見る人もいるだろう。ちなみに筆者は後者だ。週末のCNNは暫定予算法案が通らず久し振りで米政府が閉鎖されたことを大々的に報じていたが、これも別に米国史上初めてではない。これから11月の中間選挙まで米内政から目が離せない。

先週筆者が最も関心を持ったのは、南シナ海で米海軍が「航行の自由」作戦を再開したらしいことだ。20日、中国外交部報道局長は、南シナ海で中国が主権を主張するスカボロー礁から12カイリ以内の海域を米軍艦が17日に航行したと表明した上で「強烈な不満」を表明。おお、米国よ、遂にやったか、というのが率直な印象だ。

トランプ政権下では2017年10月以来5回目となるが、米軍は詳細を公表していないので詳しいことは判らない。今回の作戦が中国側発表の通りであれば、今回米海軍は、少なくとも最近では初めて、スカボロー礁の周辺海域内、しかも12カイリ以内を航行したようだ。これまでの作戦を時系列順にまとめたので参考にして欲しい。

【参考】米海軍「航行の自由」作戦
2015年10月、ミサイル駆逐艦ラッセン、スプラトリー(南沙)諸島
2016年1月、ミサイル駆逐艦カーティス・ウィルバー、パラセル(西沙)諸島
2016年5月、ミサイル駆逐艦ウィリアム・P・ローレンス、スプラトリー諸島
2016年10月、ミサイル駆逐艦ディケーター、パラセル諸島
2017年5月、ミサイル駆逐艦デューイ、ミスチーフ礁
2017年7月、ミサイル駆逐艦ステザム、パラセル諸島
2017年8月、ミサイル駆逐艦ジョン・マケイン、ミスチーフ礁
2017年10月、ミサイル駆逐艦チェイフィー、パラセル諸島近く
2018年1月17日、ミサイル駆逐艦ホッパー、スカボロー礁12カイリ以内


昨年11月のトランプ氏アジア歴訪では随分中国に配慮した米国だったが、もう堪忍袋の緒が切れたのか。トランプ氏は実に判り易い。この関連で、海上自衛隊P3C哨戒機が上海沖で北朝鮮のタンカーにドミニカ船籍タンカーが横付けするのを確認したと報じられた。密輸だった疑いがあり、米側に撮影画像を提供したらしい。


 
〇欧州・ロシア
22日からドイツの社会民主党(SPD)とキリスト教民主社会同盟(CDU・CSU)との大連立協議が始まる。独第2党のSPDは21日の党大会で、メルケル首相率いるCDU・CSUとの連立協議に入ることを決め、メルケル首相はこれに歓迎の意を表したそうだが、SPD党大会の投票は僅差だった。このまま大連立ができる保証はない。

〇東アジア・大洋州
筆者のもう一つの注目点は先週から続く朝鮮半島の南北対話の進展だ。北朝鮮の揺さぶりは実に見事で、韓国は完全に足元を見られている。北朝鮮から視察団が来ればマスコミは大騒ぎ、近く韓国のスキー選手が北朝鮮のスキー場で練習するという。最も哀れなのは韓国の女子アイスホッケーチームだ。

〇中東・アフリカ
米副大統領が22日、イスラエルを訪問。先週20日にエジプトで大統領と、21日にヨルダンで国王とそれぞれ会談したが、エルサレム首都認定問題もあり、あまり成果はなかっただろう。副大統領は「エルサレムへの大使館移転は2019年末までに」という(全く不必要な)発言までしたそうだ。トランプ政権に中東和平仲介など無理である。

〇南北アメリカ
23日から恒例のダボス会議(世界経済フォーラム)が始まり、米大統領、仏大統領、英首相、インド首相、ジンバブエ大統領が参加するという。ダボス会議でトランプ氏は「アメリカ第一主義」について一体何を話すのか、興味がある。それにしても、もう40年以上続くダボス会議だが、このビジネスモデルを考えた人には大変な商才がある。

〇インド亜大陸
25日からインドがASEAN諸国との首脳会議を主催し、フィリピン大統領が初めてインドを訪問するそうだ。26日にはインドネシア大統領がパキスタンを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。

13-28日 北米国際オートショー(デトロイト)
15-2月2日 子どもの権利委員会 第77回会合(ジュネーブ)
16-23日 対日理解促進交流・日本文化交流及び若手産業関係者交流をテーマにカンボジアとベトナムの大学生及び社会人が訪日
16-23日 対日理解促進交流プログラム・空手を学ぶ米国人大学生らが訪日
16-25日 対日理解促進交流プログラム・韓国青年訪日団が訪日(東京都、秋田県、岩手県)
19-23日 米・ペンス副大統領がエジプト、ヨルダン、イスラエルを歴訪
21-27日 米・ティラーソン国務長官が英仏、スイス、ポーランド歴訪
22日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ブリュッセル)
22日 欧州外相理事会(ブリュッセル)
22日 佐藤外務副大臣がリベリア大統領就任式へ総理特使として派遣
22日か23日 ロシア・17年鉱工業生産指数発表
22-23日 米・ペンス副大統領がイスラエルを訪問
22-25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
22-26日 UNDP /UNFPA /UNOPS執行理事会 第ー定例会合(ニューヨーク)
22-27日 世界保健機関(WHO)執行理事会 第142回会合(ジュネーブ)
22-30日 対日理解促進交流プログラム・アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン及びモルディブの社会人が訪日
22-3月30日 ジュネーブ軍縮会議(CD) 第1会期(ジュネーブ)
23日 欧州経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
23日 バングラデシュのロヒンギャ難民がミャンマーへの帰還開始
23日 第90回米アカデミー賞ノミネート作品発表
23-26日 第48回世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス)
23-28日 北米自由貿易協定(NAFTA)第6回再交渉会合(カナダ・モントリオール)
23-28日 岡本外務大臣政務官がフランス及びスイス訪問
23-30日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人高校生一行が訪日
23-30日 対日理解促進交流プログラム・米国の社会人一行が訪日
24-26日 軍縮問題諮問委員会 第69回会合(ジュネーブ)
25日 インド・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(ニューデリー)
25日 外務省が「平成29年度地方連携フォーラム」を開催(三田共用会議所)
25日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(フランクフルト)
25-26日 国連主導のシリア和平協議(ウィーン)
25-27日 北朝鮮が平昌五輪の先発隊派遣
26日 インド共和国記念日
26日 第4回日仏外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)(東京)
26日 米・17年第4四半期および年間GDP(速報値)発表
26日 アリアン5ECA(通信衛星SESなど)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
26-27日 チェコ大統領選挙(決選投票)
26-29日 フランス・ル・ドリアン欧州・外務大臣が訪日
27日 日仏防衛相会談を開催(東京)
27日 ホンジュラス大統領就任式(テグシガルパ)
28日 岐阜市・宮崎市長選挙
28日 フィンランド大統領選挙
28日 キプロス共和国大統領選
28-2月3日 グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長が訪日

【来週の予定】
29日 欧州農水相理事会(ブリュッセル)
29日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29日 17年12月米個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
29日か30日 ロシア2017年1-11月貿易統計、12月雇用統計発表
29日-2月2日 国連人権理事会 ワーキンググループ第21回会合(ジュネーブ)
29日-2月2日 国連先住民族のための自主基金第31期理事会
30日 米国大統領一般教書演説(ワシントン)
30日 EU17年10-12月期ユーロ圏GDP(域内総生産)速報値(EU統計局)
30-31日 国連経済社会理事会ユースフォーラム(ニューヨーク)
30-31日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
31日 EU12月失業率発表(EU統計局)
31日 ファルコン9(SES16など)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31日-2月1日 EU地域委員会第127回本会議(ブリュッセル)
1月下旬 ブラジル12月全国家計サンプル調査発表
1月下旬 メキシコ11月小売・卸売販売指数、12月貿易統計発表
1日 インド2018年度政府予算案発表
1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1日 ソユーズ2.1a(カノープスなど)打ち上げ(ボストチヌイ基地)
2日 米国1月雇用統計発表
2日 長征2D(陸地探査衛星四号)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)
3日 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長任期満了
3日 SS-520 5号機(超小型衛星TRICOM-1R)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)
4日 山口県・長崎県知事選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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