外交・安保カレンダー(10月9-15日)

今週の関心は3つ。巷では10月10日の朝鮮労働党創建記念日に合わせ北朝鮮が新たな「軍事的挑発」を行う可能性が取り沙汰されている。だが、この種の「オオカミ少年」で一喜一憂するのはもう止めた方が良い。仮に何かを発射するとしても、北朝鮮が米軍の攻撃を誘発するような「挑発」を行うとは思えない。重要なのは開発計画であり、創建記念日のために実験する訳ではないのだ。

二つ目は東京都知事の国政復帰の可能性だが、こちらの方が可能性は低そうだ。それにしても選挙に出馬される方々は大変だ。衆議院解散以降、新旧政党の合従連衡が猫の目のように変わった。だが、今週は少し落ち着いてきたから、何が一過性の風で、何が実体なのかが見えてくるはず。皆さまご苦労様です。

三番目は今週米大統領が「イランは2015年の核合意を順守していない」旨判断する可能性だ。米行政府は90日ごとにイランの合意順守について議会に通報する義務を負っているが、報道によれば、トランプ氏は核合意が「米国の国益」にとって「不可欠」とは認めないらしい。最悪、対イラン制裁が復活するのだが、詳細は来週書くことにしよう。

という訳で、今週は北朝鮮の動きをもう少し占ってみたい。核実験が前回成功だったとすれば、今回はやらないかもしれない。前回実験の技術的検証が必要だと思うからだ。だとすれば、今回はSLBMの実験か、それともICBM「火星14号」の通常発射で今回は8000キロから一万キロの射程を狙うのか。

北朝鮮がいずれ後者を試みることだけは間違いない。問題はどの方向に打つかだ。8000キロの飛行距離を狙うのは結構勇気がいる。あまり飛ばすと米本土に届いてしまうからだ。ロシア筋は北朝鮮が米西海岸に届くICBMの発射を準備しているというが、下手に米国領域に落下すれば米国は反撃しかねない。

同様のことはグアム島方面についても言える。グアムの領海内に落としただけで、下手をすると朝鮮戦争パート2が始まる。その時は北朝鮮が崩壊する時だから、金正恩も無理はしないはずだ。このゲーム、各チームが合理的に行動して誤算が生じない限り、戦争は起きないはずなのだが。怖いのは誤算である。 


 
〇欧州・ロシア
9日から英国のEU離脱に関する交渉が再開される。10日にはスペイン・カタルーニャ自治州の大統領が住民投票に関する報告を行うという。ここで独立宣言しても、どうにもならないと思うのだが。10日は他にも重要なイベントがある。トルコ大統領がセルビアを訪問、仏では公務員がストをやり、イタリアでは難民の増大が議論される。
11日には英国のEU離脱後のキプロスにある英軍基地の取り扱いについて両国で協議が行われる。また15日にはオーストリアで議会の総選挙がある。先日のドイツ総選挙では右派系ナショナリスト政党が第三党に躍り出た。これがオーストリアにも飛び火するようなら、欧州で再びポピュリズムへの懸念が再燃するだろう。

〇東アジア・大洋州 
9日には韓国が休日が終わり、10日は台湾で国慶日、北朝鮮では労働党創建記念日がある。同日は日本では総選挙の公示日で、投票は10月22日となる。15日には中国でカザフスタンの天然ガスの輸入が始まる一方、米空母ロナルド・レーガンが韓国海軍と合同演習を行う。何事も起きなければ良いのだが。

〇南北アメリカ
9日からカナダ首相が米国とメキシコを訪問する。NAFTAは一体どうなるのだろうか。それにしても、ワシントンの「統治能力」が悪化しているのに、その変化が余りに日常的で、漸進的で、しかも人々がそのショックに慣れ始めている。このままだとワシントンの劣化がpoint of no returnを越えるかもしれぬ。

〇中東・アフリカ 
最近米・トルコ関係が悪化している。トルコ治安当局が在イスタンブール米国総領事館の現地職員を逮捕したことへの報復なのか、8日、在トルコ米大使館は米国一時滞在に必要な非移民ビザのトルコ国内での発給を無期限で停止すると発表した。在米トルコ大使館も同日、同様の措置をとったという。
今のような両国関係の悪化を一体誰が予想しただろうか。先週も書いた通り、最近のエルドアンの欧米離れは顕著だが、トルコはNATOのメンバーであり、米国の対中東政策の要の国だ。このまま放置すれば、米国にとって、また欧州にとっても失うものが大き過ぎる。手遅れにならないうちに、関係修復をしておかないと心配だ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

4-11日 外務省主催でMIRAIプログラム・欧州及び中央アジア・コーカサス地域から大学生と大学院生を招へい
4-18日 ユネスコ第202回執行委員会(パリ)
9日 コロンブスデー(米の為替、債券市場が休場)
9日 メキシコ9月CPI発表
9日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ルクセンブルク)
9日 英・EUの第5回離脱交渉開始(ブリュッセル)
9日 トルコ・エルドアン大統領がウクライナを訪問
9日 長征2D(ベネズエラの地球観測衛生VRSS-2)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)
9日 ファルコン9(イリジウム・ネクスト10機)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
9-10日 EU農業・漁業理事会(ルクセンブルク)
9-10日 モロッコ政府主催世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会議(モロッコ・マラケシュ)
9-11日 シリア外相がシリアとロシア経済協力のjoint committeeに参加するためにロシアを訪問(ソチ)
9-11日 ロシア・メドベジェフ首相がアルジェリアとモロッコを訪問
9-11日 EU地域委員会(COR)125回本会議(ブリュッセル)
9-11日 日・セネガル投資協定交渉第1回会合開催(セネガル・ダカール)
9-12日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
9-12日 デンマーク・フレデリック皇太子夫妻が来日
9-13日 国連人権理事会第20回Discrimination against Women in Law and in Practice作業部会(ジュネーブ)
9-20日 国連人権理事会第15回ダーバン宣言と行動計画の効果的な実施に関する政府間作業部会(ジュネーブ)
9-27日 万国郵便連合管理理事会(ベルン)
10日 CIS外相会議(ウズベキスタン・タシケント)
10日 EU経済・財務省理事会(ルクセンブルク)
10日 リベリア大統領及び下院議員選挙
10日 北朝鮮の朝鮮労働党創建72年
10日 台湾双十節(辛亥革命記念日)
10日 トルコ大統領・エルドアンがセルビアを訪問
10日 H-IIAロケット36号機「みちびき4号機」打ち上げ(準天頂衛星)(種子島宇宙センター)
10-13日 化学兵器禁止機関(OPCW)第86回執行理事会(ハーグ)
10-17日 対日理解促進交流プログラム・「日ASEAN青少年スポーツ交流(ラグビー)」に参加する青少年及び役員が訪日
11日 CIS首脳会議(ロシア・ソチ)
11日 ブラジル8月月間小売り調査発表
11日 中国共産党第18期中央委第7総会(北京)
11日 第48回衆議院議員総選挙の在外公館投票を開始
11か12日 米FOMC議事要旨(FRB)
11-13日 国際グリーンテック・エコプロダクト展示会「IGEM2017」(クアラルンプール)
11-13日 第5回国際精密機械、工作機械および金属加工展示会「MTA Hanoi 2017」(ハノイ)
11-13日 第12回インド国際鉄道展示会「IREE2017」(ニューデリー)
11-15日 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉第4回会合(ワシントン)
12日 メキシコ8月鉱工業生産指数発表
12日 ソユーズ2.1a(ISS無人補給機)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
12-13日 G20財務省・中央銀行総裁会合(ワシントン)
12-13日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
12-14日 ベトナム工作機械・金属加工ソリューション展「METALEX VIETNAM 2017」
12-14日 フランチャイジング・アンド・ライセンシング・アジア2017「FLAsia2017」(シンガポール)
13日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
13日 中国第3四半期貿易統計発表
13日 米国9月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
13日 ロコット(欧州地球観測衛星)打ち上げ(プレセツク宇宙基地)
13-15日 IMF・世界銀行年次総会(ワシントン)
14-15日 G7農業相会合(イタリア・ベルガモ)
15日 キルギス大統領選挙
15日 オーストリア下院選挙

<10月16日-22日>
16日か17日 ロシア1-9月鉱工業生産指数発表
16日 中国9月CPI発表
16日 法王がFAO本部を訪問(ローマ)
16日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
16-19日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
17日 ユーロスタット、9月CPI発表
17日 EU競争担当相理事会(ルクセンブルク)
17日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
17日 インド8月鉱工業生産指数発表
18日 中国共産党第19回全国代表大会開会(北京)
18か19日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
18-21日 第12回ベトナム国際木工展示会「Vietnamwood 2017」(ホーチミン)
19日 中国第3四半期マクロ経済統計(GDP、CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
19-20日 欧州理事会(ブリュッセル)
19-21日 APEC財務相会合(ベトナム・ホイアン)
20日 メキシコ9月雇用統計発表
20-21日 チェコ下院選挙
20日か23日 ロシア1-8月貿易統計発表
22日 第48回衆議院議員総選挙
22日 スロベニア大統領選挙
22-25日 ベルギー経済使節団がコートジボワールを公式訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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