外交・安保カレンダー(7月24-30日)

ヨルダンにあるイスラエル大使館で先週末発砲があり、ヨルダン人2人が死亡、イスラエル人1人が負傷した。17歳のヨルダン人が工具のドライバーを武器にイスラエル人警備担当者を襲ってきたという。イスラエル国内なら発砲は当然だろうが、場所はアンマンだ。ヨルダン民衆の反応が非常に気になる。

ヨルダンはヨルダン川東岸にあり、人口の過半数はパレスチナ人だが、既にイスラエルと平和条約を結んでいる。万が一、このヨルダンが不安定化すれば、地中海東岸の中東地域は大混乱になる。このような穏健でまともなアラブの国になぜ石油や天然ガスが出ないのか。アッラーは慈悲深いはずなのに。

一方、日本では国際情勢に関係のない獣医学部の「新設」や陸自PKO部隊の「日報」の議論に明け暮れている。誰もこれで良いとは思っていないだろうが、これはもう理屈ではない。政局や倒閣運動にしたい人々がいるのだろう。内政にコメントはしないが、やはり日本にもポピュリズムの足音が聞こえ始めた。

〇欧州・ロシア
24日から英米の政府関係者がイギリスEU離脱後の米英FTAについて話し合うという。翌25日に欧州委員会は、ドイツがノルドストリーム2というパイプラインでロシア天然ガスを購入する問題について議論するそうだ。これを見ていると、やはりドイツは「欧州」だが、英国は「欧州」ではないと痛感する。
米副大統領が28日からエストニア、ジョージア、モンテネグロを訪問するという。いずれも小さな国だが、ロシアとの関係では重要な役割を果たし得る国々ばかり。トランプ氏ではなく、ペンス氏のような「サプライズのない」要人を派遣して、米外交を安定化させることはとても重要だと思う。

〇東アジア・大洋州
24日に中国共産党が、孫政才・前重慶市共産党委員会書記を「重大な規律違反の疑い」で調査すると正式発表したそうだ。「重大な規律違反」とは汚職を意味するのだが、それではこの種の規律違反をしていない主要幹部が一体どこにいるのだろう。つくづく日本に生まれて良かったと思う。
27日は朝鮮戦争休戦協定の署名日であり、あれから64年経った。そう、1953年は筆者が生まれた年だから覚えやすい。その北朝鮮では26日から始める予定のビール祭りが中止されたという。昔平壌で飲んだ「大同江」ビールは実は予想以上に美味しかった。旱魃の悪影響はここまで及んでいるのか。

〇中東・アフリカ 
24日にイラク外相がインドを訪問、25日にはリビア政府関係者がパリを訪問してマクロン大統領と会談するという。このところ中東では大きなニュースがない。シリア内戦はどうか、モスル陥落後のイラクはどうか、スンニーアラブ主要国の対カタール経済制裁はどうなのか。水面下で動いている兆候はないが・・・。

〇南北アメリカ
ロシアゲートの関連で、24日、トランプ氏の娘婿が米上院情報特別委員会で非公開で証言した。クシュナー氏は証言に先立ち、大統領選中から複数回、ロシア政府関係者と面会していたことを明らかにする一方、ロシアとの共謀を否定する声明を発表したそうだ。しかし、証言は宣誓なしの非公開。これでは疑いは晴れないだろう。

〇インド亜大陸
インドの安全保障担当補佐官が26-27日に中国で開かれるBRICSの安全保障担当補佐官会議に出席する可能性があるという。何が話し合われるのやら。今週はこのくらいにしておこう。

18-28日 第19回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(インド)
19-26日 全米ジャパン・ボウル成績優秀者が訪日(対日理解促進交流プログラム)
19-28日 韓国青年訪日団が訪日(対日理解促進交流プログラムJENESYS2017)
23-24日 エルドアン・トルコ大統領がサウジ、クウェート、カタールを歴訪
23-28日 APECビジネス諮問委員会(カナダ・トロント)
23-30日 薗浦外務副大臣がトリニダード・トバゴ、セントルシア、スリナム、ジャマイカ及び米国訪問
23-30日 中国青年メディア関係者代表団が訪日(対日理解促進交流プログラムJENESYS2017)
24日 貿易経済に関する日露政府間委員会地域間交流分科会第6回会合を開催(富山市)
24日 IMFが経済見通し改訂版発表
24日 EU経済・財務省(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
24日か25日 ロシア6月雇用統計発表
24-28日 河井内閣総理大臣補佐官が米国訪問(ワシントンD.C.)
24-28日 国際海事機関(IMO)第118回理事会(ロンドン)
24-8月2日 武井外務大臣政務官が米国、カナダ、パナマ及びホンジュラスを訪問
24-9月15日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト: ARDEC」第4回訓練開始(ナイロビ)
25日 外務省が海外へ三重県の魅力発信のため「車座ふるさとトーク」を開催(伊勢市)
25日 インド新大統領の就任式
25日 ハリーリ・レバノン首相がアメリカを訪問(ワシントンD.C.)
25日 メキシコ5月小売・卸売販売指数発表
25日 EU-トルコ間「ハイレベル政治対話」会議 (ブリュッセル)
25-26日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
25-26日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
25-26日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
27日 包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進に関する地域会合開催(外務省)
27日 国連経済社会理事会(ECOSOC)組織会期(ニューヨーク)
27日 プーチン・ロシア大統領がフィンランドを訪問
27日 メキシコ6月貿易統計発表
27-30日 食品展示会2017(オークランド)
28日 学生向けのCTBT及びその検証体制に関するシンポジウム(東京工業大学)
28日 日本6月雇用統計と消費者物価指数(統計局)
28日 ブラジル6月全国家計サンプル調査発表
28日 米国第2四半期GDP(速報値)発表
28日 ロシア中央銀行理事会
29日 ソユーズFGの打ち上げ(カザフスタン・バイコヌール宇宙基地)
30日 横浜市長選
30日-8月2日 ペンス・米副大統領がエストニア、ジョージア、モンテネグロを訪問
31日 長征3B(航法測位衛星第3世代北斗2機)の打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)


【来週の予定】
7月31日 EU・6月失業率発表(EU統計局)
7月31日-8月11日「核兵器用核分裂性物質生産禁止条約」第1回ハイレベル準備会合(ジュネーヴ)
7月31日-8月18日 国際海底機構(ISA)第23回総会(ジャマイカ・キングストン)
8月1日 ブラジル6月鉱工業生産指数発表
1日 4-6月期のユーロ圏GDP速報値(EU統計局)
1日 米国・6月個人所得・消費(商務省)
2日 ヴェガ(環境モニタリング衛星など)の打ち上げ(仏領ギアナ基地)
2-8日 第50回ASEAN外相会議(マニラ)
3日 アトラスV(データ中継衛星TDRS M)(ケープカナベラル空軍基地)
4日 米国・6月貿易統計(商務省)、7月雇用統計発表(労働省)
4日 ルワンダ大統領選挙
4日か7日 ロシア7月CPI発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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