外交・安保カレンダー(7月17-23日)

薄熙来失脚後、2012年に吉林省党委書記から重慶市党委書記に昇格していた孫政才氏が先週突然解任された。本当か、なぜ彼なのか。孫政才といえば知る人ぞ知る、将来を嘱望された第6世代の逸材だ。本当に彼が失脚したとすれば、さすがは中国だ。やはり党大会の年には「何でもあり」ということか。

孫政才氏は1987年から党の活動に参加、翌年入党。北京市農林科学院大学院修了(作物栽培・耕作学)、農学博士。同科学院研究員、同科学院作物所研究室副主任、同科学院土肥所所長、同所党支部書記、同科学院副院長、同科学院党委員会副書記等を経て、中国共産党順義県委員会副書記に就任している。

その後、順義県副県長、代県長、県長、中国共産党北京市順義区委員会副書記、同区長、同区党委員会書記などを歴任した。2006年12月、第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議で農業部長就任が決定。2009年11月、吉林省党委員会書記に抜擢された。

更に、2012年11月には重慶市党委書記に就任し、当時、内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記となった同い年の胡春華氏とともに第6世代のホ-プとされ、「ポスト習」の有力候補として注目されていた。胡春華氏とは異なり、共産主義青年団出身ではないが、胡錦濤前総書記に近いといわれる。

問題は何故今、パージの対象が孫政才なのかということだ。これまでの経験から、昨日の今日では確度の高い情報は出て来ないだろうが、親族の腐敗などと言い始めたら、それこそ誰が捕まってもおかしくないのが中国だ。やはり、今年10月の党大会での人事の一環なのか。それにしても恐ろしい国だ。

〇欧州・ロシア
21日には核問題でイランと主要国との協議がジュネーブで行われる。一方、16日には金融犯罪との関連でイラン大統領の実弟が逮捕された。これがイラン内政の一環であることは間違いないが、イラン大統領再選後、経済制裁をめぐる米国との協議も進んでいない。同大統領の出方にはとても興味がある。

〇東アジア・大洋州
冒頭の中国共産党幹部人事の続きだが、孫氏のライバル胡春華氏は1963年4月生まれ、北京大学卒、湖北省出身の天才児といわれた。2006年まで一貫してチベットに勤務。1997年に共青団書記処書記、2007年に同団第一書記、2009年に河北省長、その後内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記に就任した。
胡氏も胡錦濤の直系といわれるが、彼の方は大丈夫なのか。今後二人とも失脚するなどという事態になれば、習近平氏への権力集中が更に進むだろう。それが本当に中国のためになるのか、正直なところ、筆者には分からない。

〇中東・アフリカ 
イラクのアバディ首相がIS(イスラム国)の拠点モースルを解放したと10日に表明してから一週間が経った。モースルの奪還は新たな問題を惹起し、特にシーア派ミリシアを支援したイランの影響力が強まることが懸念されている。問題はIS掃討後の米軍の動きだろう。
米軍部隊がイラクを去れば「力の真空」が生まれかねず、逆に残れば再び攻撃の対象となりかねない。どう転んでも、イラクが米国にとって鬼門となることだけは間違いなかろう。

〇南北アメリカ
 ロシアゲートの関連で、今度はトランプ氏の実の息子が集中砲火を浴びている。それにしても、このスキャンダルは底なしだ。逆に見れば、これだけ形勢が悪いのに、トランプ陣営は良く頑張っているのかもしれない。しかし、攻撃は最大の防御だ。防御だけで形勢逆転を期待することはできない。

〇インド亜大陸
先週紹介した日米印海軍合同演習は今週も続いている。今週はこのくらいにしておこう。

10-17日 日米印合同海上軍事演習(インド洋ベンガル湾)
10-19日 持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)(ニューヨーク)
10-21日 第85回国際化学物質安全性カード(ICSC)(ウィーン)
16-19日 岸田外務大臣がHLPFに出席するためにニューヨークを訪問
17日 米ロ高官協議再開(ワシントン)
17日 インド大統領選挙
17日 中国第2四半期マクロ経済統計(GDP、CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
17日 EU外相理事会(ブリュッセル)
17日 EU6月CPI発表(EU統計局)
17日 日・フィンランド社会保障協定第1回政府間交渉(ヘルシンキ)
17日か18日 ロシア上半期鉱工業生産指数発表
17-18日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
17、19日 WTOがブラジルに関する貿易政策レビュー(ジュネーブ)
17-19日 国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)閣僚級会合(ニューヨーク)
17-20日 河井内閣総理大臣補佐官がベトナム及び豪州訪問
17-20日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
17-20日 アッバース・パレスチナ大統領が中国を訪問
17-23日 岸外務副大臣がアルバニア、ルーマニア及びクロアチアを訪問
17-24日 外務省がスリランカ柔道選手を招へい(スポーツ・フォー・トゥモロー)
18日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
18-28日 第19回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(インド)
19日 米中包括経済対話(ワシントン)
20日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策、フランクフルト)
21日 メキシコ6月雇用統計発表
21日か24日 ロシア1-5月貿易統計発表
22日 アスタナ国際博「ジャパンデー」(カザフスタン)
22日 EUが改正特定有害物質使用制限(RoHS)指令で「産業用の監視・制御機器」への適用開始
22-23日 岸田外務大臣が駐日外交団と共に香川県及び兵庫県を訪問
23-28日 APECビジネス諮問委員会(カナダ・トロント)


【来週の予定】
24日 EU経済・財務省(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
24日か25日 ロシア6月雇用統計発表
24-28日 国際海事機関(IMO)第118回理事会(ロンドン)
24-9月15日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト: ARDEC」第4回訓練開始(ナイロビ)
25日 メキシコ5月小売・卸売販売指数発表
25-26日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
25-26日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
25-26日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
27日 国連経済社会理事会(ECOSOC)組織会期(ニューヨーク)
27日 メキシコ6月貿易統計発表
27-30日 食品展示会2017(オークランド)
28日 ブラジル6月全国家計サンプル調査発表
28日 米国第2四半期GDP(速報値)発表
28日 ロシア中央銀行理事会
29日 ソユーズFGの打ち上げ(カザフスタン・バイコヌール宇宙基地)
7月中 IMF、経済見通し改訂版発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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