今週の朝鮮半島(7月1-7日)

 7月1日付で着任した研究員の伊藤弘太郎です。今週より、私が気になった朝鮮半島関連(特に韓国)情報を、自分なりの見方とともにピックアップし、「今週の朝鮮半島」と題する短いコラムにまとめて毎週掲載します。朝鮮半島に関心ある読者のお役に立てば幸いです。

 
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7月第1週の朝鮮半島は大きく動いた。まず、4日に北朝鮮がICBMを発射。筆者の素人目には、何台ものカメラを使った発射シーン、弾頭の分離まで撮影した大気圏外からの映像、発射のカウントダウン表記が以前の古めかしいアナログからデジタルに変化したこと等が大いに気になった。北側に「見せる余裕」が出てきたことを感じさせる。

北のICBM発射以上に驚いたのは、翌5日に韓国軍合同参謀本部が公開した「戦略兵器映像」だ。初めて公開された巡航ミサイル「玄武3B」などの映像で、「北への強い牽制」だと報じられた。しかし、ここで紹介された北朝鮮の核・ミサイルを無力化するための「3軸体系」である①キルチェーン、②KAMD(韓国型ミサイル防衛)、③KMPR(大量反撃報復作戦)は、確かまだ構築途上の軍事システムや作戦概念だったはず。文在寅政権は大丈夫なのか。

文在寅といえば、同大統領は初外遊となる米国訪問(6月28日~7月2日)、ドイツでのG20(7月5日~10日)という11日間に及ぶ外交日程を無事終えた。6日発表の世論調査(ギャラップ)では83%の高い大統領支持率(前週比3%増)、更に71%が「今回の訪米を評価」していた。政権関係者もひとまず安心したことだろう。そんな中、今週特に気になったのは韓国製軍用機に関する記事だ。中央日報は「韓国航空宇宙産業、フィリピンに攻撃機12機引き渡し(4日付)」、「文在寅大統領「米国製戦闘機F-15購入するので韓国製高等訓練機T-50購入を(5日付)」と報じていた。

既にご存じの方も多いと思うが、現在、フィリピン・ミンダナオ島で行われているイスラム武装勢力に対する同国軍による空爆作戦には、韓国製のFA-50軽攻撃機が使用され活躍している。同機導入まで10年間ジェット戦闘機を持たなかったフィリピンにとって、韓国製攻撃機は貴重な戦力だ。韓国側はフィリピンによる同機の追加導入を強く期待している。

これまで韓国は、中国の南シナ海進出に対し、日米のような強い姿勢を示してこなかった。しかし、FA-50はインドネシアなどにも輸出されており、南シナ海沿岸国の軍事的能力構築の一助となっている。韓国はこうした実績を着実に積み上げつつ、当面の目標である米国へのT-50輸出に全力を注いでいる。今回の米韓首脳会談では文大統領がトランプ大統領に対し、「韓国が米国製戦闘機導入を拡大する代わりに、米国はT-50を購入する意思があるか打診した」などと報じられた。文在寅大統領は、「防衛産業の不正を正す」という選挙公約と、最重要政策である「雇用創出」にもつながる防衛産業の振興政策を、どう両立させていくのか。日本の航空・防衛産業にとっても要注目事項である。

<7月第1週 朝鮮半島関連の主な動き>
(6月30日 米韓首脳会談)
7月3日 文在寅大統領がオバマ前米国大統領と会談

4日
北朝鮮が「火星14号」発射と発表(特別重大放送)
文大統領はNSCを開催し北を非難

5日
韓米両軍は東海岸で弾道ミサイル射撃訓練を実施
北のミサイル発射をうけて国連安保理緊急会合が開催

6日
文大統領はドイツ・ベルリンにて演説。南北軍事境界線付近での双方の敵対行為の中止や南北離散家族の再会行事開催について協議する南北赤十字会談の開催を提案。
日米韓首脳会談
中韓首脳会談

7日
G20会合開催(〜8日)
日米韓が北朝鮮に対する共同声明発表
日韓首脳会談
露韓首脳会談

(キヤノングローバル戦略研究所 研究員 伊藤 弘太郎)

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