外交・安保カレンダー(7月3-9日)

今週は珍しく日本の政治についてコメントする。普通なら黙っているところだが、今回ばかりはコメントせざるを得ない。世界のマスコミは今回の小池百合子知事の勝利に終わった都議選の結果をどう報じたのだろうか。安倍政権に関する世界の評価は変わるのだろうか。こんなことが結構気になるからだ。

そうはいっても、現時点で配信しているのは東京発のロイターだけらしい。その要旨は、


●安倍の自民党が都議選で歴史的敗北を喫し、スキャンダルで傷付いた総理の将来の問題を暗示している。


●石破茂氏は、「都民ファーストの勝利というより、自民党の歴史的敗北だ」と述べた。


●小池知事は総理を狙うとの観測もあるが、それがあるとしても2020年の東京五輪以降となる可能性が高い。


●日本の政治学者は、安倍が狙っていた自民党総裁三選と憲法改正は難しくなった、と語った。


●より重要なことは、日本の有権者が安倍政権はより尊大になったという印象を持ち始めたことだ。


●このダメージから回復するため安倍は内閣改造を狙っているが、それは逆効果ともなり得る・・・・


毎回この種の記事を書くのは日本在住の長い名物記者だが、内容的には政府に批判的な邦字紙の記事を纏めて書くケースが少なくない。逆に言えば、この種の邦字氏の論調が日本の内政関連記事のトーンを決めるのだ。今後、ワシントンポストやフィナンシャルタイムズがどう書くか、個人的には興味津々だ。

 
〇欧州・ロシア
3-4日に中国の国家主席がロシアを訪問し、首脳会談を行う。更に、同主席は5-6日にドイツを訪問し首脳会談を行う。7-8日に予定されるG20前の欧州歴訪だが、中国の外交には無駄がない。民主主義のない国の外交は実にプロフェショナルである。

〇東アジア・大洋州
2日の米保守系メディアは米国防当局者の話として、米海軍艦船が中国が実効支配する南シナ海の西沙(パラセル)諸島のトリトン島から12海里内を航行したと報じた。5月に南沙(スプラトリー)諸島で実施して以来の「航行の自由」作戦となる。
同作戦はトランプ政権下で既に2度目。しかも、同大統領は翌日に中国国家主席と電話協議を控えていた。トランプ政権の対中政策は意外に強硬だ。それがトランプ氏の本心なのか、それとも、単にオバマ大統領がやらなかったことをやっているだけなのか、は正直分からない。

〇中東・アフリカ 
イラクのアバディ首相はイラク北部モースル奪還作戦が「あと数日で終わる」などと公言していたが、民間人の犠牲を考慮してか、まだ実現していない。1980年代、アサド(父親)大統領は、イスラム過激派に対し情け容赦のない掃討作戦を実施し、民間人に多大な犠牲者が出たが、全く意に介さなかった。時代は変わったのだ。

〇南北アメリカ
トランプ政権は健在だ。結果次第では中間選挙前にも共和党議員が「トランプ降し」を始めるかと思われたジョージア州下院議員補選は、共和党候補がかろうじて勝利した。これで大統領弾劾の話は当分動かないのだろう。これでワシントンの政治エリートたちの憂鬱は終わりそうにない。

〇インド亜大陸
4日にインド首相がイスラエルを訪問する。目立たない訪問だが、極めて重要だと思う。今週はこのくらいにしておこう。

6月27日-7月6日 対日理解促進交流プログラムJENESYS2017(韓国大学生訪日団)(東京)
2-12日 ユネスコの世界遺産委(ポーランド・クラクフ)
3日 EU5月失業率発表(EU統計局)
3日 外務大臣及び福岡県知事が地方創生支援レセプションを共催(飯倉公館)
3日か4日 ロシア需要項目別GDP統計発表
3-4日 中国・習主席がロシアを訪問、首脳会談(モスクワ)
5-6日 中国・習主席がドイツを訪問、首脳会談(ベルリン)
3-5日 ライチャーク第72回国連総会議長が訪日
3-6日 欧州議会本会議(ストラスブール)
3-8日 第40回国連食糧農業機関(FAO)会議(ローマ)
3-16日 テニス・ウィンブルドン選手権(ロンドン)
3-21日 第50回国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)(ウィーン)
4日 米国・独立記念日でニューヨーク市場休場
4日 ブラジル5月鉱工業生産指数発表
4-5日 シリア和平協議(カザフスタン・アスタナ)
4-6日 インド・モディ首相がイスラエルを訪問
4-7日 機械総合展示会(MTA)ベトナム2017(ホーチミン)
5-7日 米・トランプ大統領がポーランドを訪問(ワルシャワ)
5日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策、フランクフルト)
5、7日 WTO、EUに関する貿易レビュー(スイス・ジュネーブ)
6日 平成29年度外務大臣表彰式及びレセプション(飯倉公館)
6日 米国5月貿易統計発表(商務省)
6-7日 経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
6日か7日 ロシア6月CPI発
7日 米国6月雇用統計発表(労働省)
7日 ブラジル6月拡大消費物価指数(IPCA)発表
7日 メキシコ6月CPI発表
7-8日 G20首脳会議(ドイツ・ハンブルク)
7-9日 ブラジル日本祭り2017「Festival do Japao」(サンパウロ)
8日 秋篠宮家の長女眞子さまの婚約発表
9日 奈良市長選挙(奈良県)

【来週の予定】
10日 中国6月CPI発表(国家統計局)
10日 ユーログループ(ブリュッセル)
10日 第157回国連食糧農業機関(FAO)理事会(ローマ)
10-13日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル・欧州議会)
10-13日 香港ファッション・ウィーク(春/夏)
10-13日 産業総合博覧会「イノプロム」開催(ロシア・エカテリンブルク)
10-14日 国連人権理事会(ジュネーヴ)
10-21日 第85回国際化学物質安全性カード(ICSC)(ウィーン)
11日 ロシア第2四半期国際収支統計発表
11日 EU経済・財務省(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
12日 インド5月鉱工業生産指数発表
12日 ブラジル5月月間小売り調査発表
12日 メキシコ5月鉱工業生産指数発表
13日 6月米財政収支(財務省)
13日 中国第2四半期貿易統計発表(中国税関総署)
14日 米・トランプ大統領がフランスを訪問
14日 米国6月消費者物価指数(CPI)及び小売売上高統計発表
14日 ソユーズ2.1aの打ち上げ(カザフスタン・バイコヌール宇宙基地)
14-16日 国際ヘルスケア展(コロンボ)
15日 長征3B(航法則位衛星第三世代北斗2機)の打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
16日 米中「100日計画」最終日

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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