外交・安保カレンダー(5月29日-6月4日)

北朝鮮がまたミサイルを発射した。三週連続ともなると、通常とは「何かが違う」はず。素人の筆者にも気になることが多い。今回発射したのがスカッドだとしても、その目的については新型燃料、新型エンジン等のテストからG7への威嚇を兼ねた在庫品整理まで、全ての可能性があり得るだろうからだ。

サミットといえば、今回の結果は多くの意味で異様だった。公式文書でメンバー国間の意見の相違を書くのはかなり異例、少なくとも筆者に記憶はない。相違点は普通は書かないのだが、今回の気候変動問題に関する「米国対その他」の相違は「書かないこと」も許されないほど大きかったのだろう。

今回はトランプ氏のデビュー戦だから仕方ないとしても、問題は来年以降だ。このまま続けば、G7の公式文書が持つクレディビリティは大幅に減殺されるだろう。せっかくG7における日本の影響力と発言権が向上しつつあるだけに残念だが、問題は深い。詳しくは今週の産経新聞「正論」に書くつもりだ。

〇欧州・ロシア
先週のNATO首脳会議にはトランプ氏が初参加した。心配した割にはテロ対策強化に向けた「行動計画」で一致、IS掃討やアフガニスタン治安部隊への支援強化も進めるという。加盟国の国防支出増大問題でも進展があったようだ。それではトランプ氏のこれまでのNATO関連の言動は一体何だったのだろうか。

〇東アジア・大洋州
現在の北朝鮮の指導部のメンタリティを如何に理解すべきなのか。1940年代の日本と同じなのか、それとも全く異なるものなのか。この答え次第で日米韓の対応は大きく異なる可能性がある。彼らはDPRKの「国体護持」のためなら「玉砕」も辞さないのか。それとも金王朝への忠誠心は「うわべ」だけなのか。

〇中東・アフリカ 
トランプ氏のサウジ、イスラエル、バチカン訪問ではっきりしたことが幾つかある。第一はオバマ式イラン重視中東外交が終わったこと。第二は、仮に中東外交がオバマ以前に戻っても、状況は2011年以前には戻らないこと。最後に、それにもかかわらず、トランプ氏は異常なほど楽観的であることだ。彼の楽観論の理由は分からない。
客観的状況はその逆だろう。トランプ政権の中東外交が成功する可能性は低い。ちなみに、ホワイトハウスのスパイサー報道官は敬虔なカトリック教徒だが、バチカンではローマ法王に会う機会を与えられず、内心憤慨していると報じられた。やはりトランプ家も田中角栄家と同じで、世界には「身内と使用人と敵」しかいない、のである。

〇南北アメリカ
トランプ氏の外遊中に、FBIの捜査が遂に娘婿クシュナーに及びつつあると報じられた。一方、クシュナー氏に直接犯罪容疑がある訳ではないとも報じられた。そりゃそうだろう、今は誰も言う勇気はないが、もし現政権内で何らかの違法行為があった場合、それを命じた人間がクシュナーでないことぐらい誰でも知っていると思うからだ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

22-31日 第70回世界保健機構(WHO)総会(ジュネーブ)
23-30日 JENESYS2016招へいプログラム(対象:インド、テーマ:経済)(東京)
29日 米・メモリアルデー(為替、債券、株式、商品市場が休場)
29日 中国・端午節祝日で休場
29日 英・スプリングバンクホリデー祝日で休場
29日 仏露首脳会談(ベルサイユ宮殿)
29-30日 EU競争力担当委員会(ブリュッセル)
29-6月1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29-6月3日 インド・モディ首相がドイツ、スペイン、ロシア、フランスを訪問
30日 中国・香港市場が端午節祝日で休場
30日 米・4月の個人所得及び消費の発表(商務省)
30-31日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
30-6月9日 国連開発計画(UNDP)/国連人口基金(UNFPA)/国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)の年次執行理事会(ニューヨーク)
31日 米のトランプ大統領とベトナムのフック首相が会談(ワシントン)
31日 ユーロスタット、4月失業率発表
31日 インド1~3月期GDP発表
31日 ブラジル4月全国家計サンプル調査発表
31日 世界保健機構(WHO)の「世界禁煙デー」
31-6月1日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
6月1日 ブラジル第1四半期GDP発表
1日 第18回印露サミットにインド・モディ首相が参加(サンクトペテルブルク)
1日 みちびき2号機(準天頂衛星)(種子島宇宙センター、午前9時20分頃)
1-2日 核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブの全体会合「核テロ対策国際会議」を開催(東京)
1-2日 第19回EU・中国サミット(ブリュッセル)
1-3日 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIFF)(サンクトペテルブルク)
2日 EU・中国の首脳会談(ブリュッセル)
2日 米国4月貿易統計、5月雇用統計発表
2日 ブラジル4月鉱工業生産指数発表
3日 サッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝(英・カーディフ)
3日 レソト国民議会選挙(レソト王国)
3-4日 岸田外務大臣が駐日外交団と石川県を訪問
4日 メキシコ統一地方選挙〔コアウイラ州(知事、州議会)、メキシコ州(知事)、ナヤリット州(知事、州議会)など〕
4-8日 ベトナムのグエン・スアン・フック首相が訪日

【来週の予定】
5日 EU、多国籍企業に対する国別報告(CbCR)の加盟国内法の適用開始
5日 中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)国民に対する短期滞在ビザの発給要件緩和の運用開始
5-16日 第106回国際労働機関(ILO)総会(ジュネーブ)
5-23日 第211回国際民間航空機関(ICAO)Council Phase(モントリオール)
6-7日 OECDフォーラム(パリ)
6日か7日 ロシア5月CPI発表
6-8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
6-8日 モルドバ首相がベラルーシを訪問
6-23日 第35回国連人権理事会(ジュネーブ)
7日 OECD、経済見通し発表
7日 国連貿易開発会議(UNCTAD)、2017年版世界投資報告書発表
7日 ユーロスタット、第1四半期実質GDP成長率発表
7-8日 カスピ海石油・ガス会議(アゼルバイジャン・バクー)
7-9日 国連経済社会理事会本会期(ニューヨーク)
8日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(タリン)
8日 メキシコ5月CPI発表
8日 中国5月貿易統計発表
8日 イギリス下院の選挙
8日 4月の国際収支(日本・財務省)
8日 1~3月期GDP改定値(日本・内閣府)
8-9日 EU司法・内務理事会(ルクセンブルク)
8-9日 EU運送、通信、エネルギー委員会(ルクセンブルク)
8-9日 上海協力機構首脳会議(カザフスタン・アスタナ)
9日 中国5月CPI発表
9日 ブラジル5月IPCA発表
9日 メキシコ4月鉱工業生産指数発表
11日 フランス国民議会選挙(第1回投票)
11-12日 G7環境相会合(イタリア・ボローニャ)
12日 インド4月鉱工業生産指数発表
12-15日 欧州議会本会議(ストラスブール)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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