外交・安保カレンダー(2月20-26日)

金正男が暗殺されて、もう一週間経った。日本のメディアは連日これでもか、これでもかと未確認情報を垂れ流した。かく言う筆者も質問を受ければ、何か答えざるを得ない。あくまで仮説であって証明されたものではないと断っても、その部分は結局カットされてしまう。この種のコメントは意外に難しいのだ。

特に難しいのは、「なぜ今なのか」という問いだ。張成沢に連なっていたからこそ、金正男は中国にとって価値があった。されば、張が粛清されたことにより、金正男の価値は大幅に低下したはず。もう中国は金正男の護衛を止めていたのか。では何故今頃、中国は北朝鮮の石炭購入を止めたのか。疑問は多い。

筆者が最も気になるのは、トランプ政権が北朝鮮に如何なるメッセージを発したかだ。考えてみれば、新政権は選挙中から、世界中の国々、特に問題のある国々に対し、まずは挑発し、喧嘩を売って、圧力を掛けてから、交渉に持ち込み、妥協を探るような戦術的手法を模索してきたようにも見える。

中国も、日本も、NATOもそうだった。北朝鮮に対しても、昨年後半のオバマ政権時代から、やれ斬首作戦だ、外科的手術だなどという噂が流れていたが、トランプ政権はもっと過激なのだろうか。そういえば、米国が金正男を利用して北朝鮮転覆を考えているという噂すらあった。北朝鮮は過剰反応したのか。



〇欧州・ロシア
今週欧州は忙しい。20日に英上院はEU離脱法案を審議し、ユーロ圏諸国はギリシャ問題を討議し、米副大統領はブラッセルを訪問する。22日にはドイツ首相がIMF関係者と会談し、23日にはジュネーブでシリア問題の会合が再開される。特に、米副大統領のNATOに関する発言は要注意だろう。

〇東アジア・大洋州
今週はマレーシア発報道がアジアを駆け巡った。それにしても、北朝鮮の工作員がクアラルンプールにあれほど多数いたのかと思うと、日本だって他人事ではないということか。これまで北朝鮮と親しかったマレーシアが今回は筋を通そうとしている。自国内で工作員が暗殺したのだから当然なのだが・・・。

〇中東・アフリカ
今週の中東は静かだ。トランプ氏がイスラエル首相との会談でパレスチナ問題をユダヤ人国家とパレスチナ人国家の樹立により解決することを目指す「二国」解決策に拘らないと発言したのに、である。一方、国連安保理では米国の大使が米国の伝統的政策は「二国」解決策だと公言している。大丈夫なのか。
23日にはイランとサウジアラビアが会合を持つ。と言っても、内容はハッジ(聖地巡礼)の話だ。たかが巡礼、されど巡礼である。最近はイランからの巡礼者に対する差別などの問題もあると聞くが、このような機会に両国間の意思疎通が続くことを祈るばかりだ。

〇南北アメリカ
今週もトランプ政権は相変わらずだが、23日には国務長官と国土安全保障長官が揃ってメキシコを訪問するという。メキシコ国境の壁の問題は進展するかもしれない。この両長官なら、ある程度話が分かるだろうからだ。しかし、壁の問題はトランプ氏が一度喋り始めたら、ぶち壊しになりかねない、要注意だ。

〇インド亜大陸
22日にインドの外相が中国を訪問し、第一回目の中印「戦略対話」会合を開くという。何を話すのか、興味津々だが・・・。今週はこのくらいにしておこう。

2月20日 タイ2017年経済見通し発表
20日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ベルギー・ブリュッセル)
20日 米国のマイク・ペンス副大統領がブリュッセルを訪問
20-21日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
20-23日 WFP執行理事会(First regular session)
20-25日 米国の下院議員27人がインドを訪問
20日-3月10日 国際民間航空機関(ICAO)第210回Council Phase
21日 ロシア第3四半期外国直接投資統計発表
21日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
21日 ASEAN非公式外相会議(フィリピン)
21-22日 ブラジル中銀、Copom
21-23日 太陽エネルギー・エネルギー効率国際展示会(モロッコ・カサブランカ)
21-23日 インドのM Hamid Ansari副大統領がウガンダを訪問
21-23日 第24回アジア輸出管理セミナーの開催(東京)
22日 ユーロスタット、1月CPI発表
22日 メキシコ第4四半期GDP発表
22日 ISS無人補給機プログレスMS5(66P)(カザフスタンン・バイコヌール)
22日 「V4+日本」移民問題セミナーの開催(東京)
22日 フランスのエロー外務・国際開発大臣がアイルランドを訪問
22-26日 韓国最大級の住宅展示会「KOREA BUILD 2017」(韓国・高陽市)
23日 日本キューバ官民インフラ会議(ハバナ)
23日 国連主導のシリア和平協議(スイス・ジュネーヴ)
23日 米国のティラソン国務長官とケリー国土安保長官がメキシコ訪問
23-24日 FBCハノイ2017ものづくり商談会
24日 メキシコ12月小売・卸売販売指数発表
24日 ブラジル1月全国家計サンプル調査発表
25日 「JAPAN HOUSE フォーラム2017」の開催(東京)
26日-3月2日 中東地域食品産業見本市「ガルフード(Gulfood)2017」(UAE・ドバイ)

【来週の予定】
2月27日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
27日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
27日 メキシコ1月貿易統計、雇用統計発表
27日か28日 ロシア2016年貿易統計、1月雇用統計発表
27-28日 国際投資フォーラム「ソチ2017」(ロシア・ソチ)
27日-3月24日 第34回国連人権理事会
28日 米国2016年第4四半期および年間GDP(改定値)発表
28日 EU環境相理事会(ブリュッセル)
28日 英国商工会議所(BCC)年次総会(ロンドン)
28-29日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(ジュネーブ)
28日-3月2日 経済社会理事会(ECOSOC)本会期(Operational activities for development segment)
28日-3月4日 香港国際ダイヤモンド・宝石&パール・ショー
最終週 アンゴラ中銀、金融政策委員会
上旬 中国1月CPI、1月貿易統計発表
中旬 メキシコ12月鉱工業生産指数発表
中旬 南ア1月CPI発表
中旬 ナイジェリア1月CPI発表
下旬 ブラジル1月全国家計サンプル調査発表
月内 アゼルバイジャン・英国政府間委員会(経済協力)第2回会合
月内 ギニア市議会議員選挙
月内 ベラルーシのルカシェンコ大統領がウズベキスタン訪問
月内 ロシアのロゴジン副首相がインド訪問
月内 スペイン・セルナ勧業相がウクライナ訪問
月内 米国予算教書発表
月内 米国大統領経済報告書発表
2月か3月 ロシア・マトビエンコ上院議長がベトナム訪問
3月1日 アルゼンチン通常国会開会式
1日 カナダ中銀、政策金利発表
1-2日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
2日 ユーロスタット、1月失業率発表
2日 北アイルランド議会選挙
2-3日 EU外相理事会(非公式会合)(バレッタ)
3日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
3日 中国第12期全国人民政治協商会議第5回全体会議(北京)
3-5日 パキスタン・オートショー(PAPS)(カラチ)
3-5日 スリランカ医療産業展(コロンボ)
5日 中国第12期全国人民代表大会第5回全体会議(北京)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

« 外交・安保カレンダー(2月13-19日) | トップページ | 外交・安保カレンダー(2月27日-3月5日) »

« 外交・安保カレンダー(2月13-19日) | トップページ | 外交・安保カレンダー(2月27日-3月5日) »