外交・安保カレンダー(1月23-29日)

今週からトランプ政権、というかトランプ氏による「ワンマン劇場」が始まる。TPPは仮死状態、「バイ・アメリカン」、「エンプロイ・アメリカン」もスローガンとしてなら良い。だが、米国の企業が外国に出れば関税をかけるとか、日本では米国車が売れないのは不公平などと言われても、全く話にならない。WTO協定との関係はどうなるのか。

トランプ氏はCIAに出かけていって、先週の就任式の一般参加者数について米国のメディアを批判していた。やはり恐れた通り、トランプ氏は「統治モード」にギアを切り替える気はなく、今後も徹頭徹尾、「選挙」、「キャンペーン」モードを続けるのだろう。どうやら、それだけは間違いなさそうだ。

〇欧州・ロシア
23日にフィロン仏共和党大統領候補がドイツのメルケル首相と会談する。24日にはイタリアの最高裁が新選挙法の合憲性について、英国の最高裁が英国のEU離脱の合法性について、それぞれ判断を下すという。26-27日にはユーロ加盟国がギリシャ問題について議論する。欧州では、なぜ時間がかくもゆっくり進むのだろうか。

〇東アジア・大洋州
27日から旧正月が始まる。韓国は30日まで、中国では2月2日までが休みになるらしい。という訳で今週、東アジアは静かだが、23日から27日まで東京で自衛隊が中台軍事衝突を想定した図上演習を行い、在日米軍がオブザーバーとなるという。今回は単なる可能性ではなく、現実となり得るから怖い。

〇中東・アフリカ
23日にカザフスタンのアスタナでロシア、トルコ、イランの三国がシリア和平問題を議論する。シリア問題はジュネーブで議論している筈なのに、なぜ今アスタナなのか。この背景には、ロシアとトルコの両大統領の合意がある。このアスタナ会合はジュネーブ協議を補完するものだというが、実態はロシア・イランにトルコが加わったのだろう。
いずれにせよ、ロシアがシリア問題を本気で解決するとは思えない。ロシアの目的はシリアを未解決にし続けることで、米国に対するロシアの協力の価値を高め、最終的には、ウクライナ、クリミア問題で始まった経済制裁の解除を米国に認めさせることだ。その意味でもトランプ氏はプーチン大統領にとって「鴨が葱」である。

〇南北アメリカ
トランプ氏と米国メディアの戦争が深刻化している。このままガチンコを続ければ、犠牲者が出る。誰が犠牲になるかは現時点ではわからないが、最終的に被害を被るのは米国民だろう。しかし、トランプ氏は気にしていないらしい。彼は「大統領」であり、確信犯的に政策を実行し始めている。当面は誰もこれを止めることは出来ないだろう。
 
〇インド亜大陸
26日にUAEアブダビの皇太子がインドを訪問する。アブダビとインドが意外に近いことはあまり知られていない。そういえば、アブダビに限らず、湾岸諸国では多くのインド人が中間管理職として働いていたことを思い出した。今週はこのくらいにしておこう。

1月23日 EU農水相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
23日 シリア問題の解決に向けての「Astana peace talks」の開催(カザフスタン・アスタナ)
23日か24日 ロシア2016年鉱工業生産指数発表
23-24日 ストルテンベルグNATO事務総長が北大西洋理事会の議長を務める(クウェート)
23-26日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
23-26日 日・トルコ経済連携協定交渉第6回会合(トルコ・アンカラ)
23-29日 対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」により米国大学院生が訪日
23-2月1日 第140回WHO執行理事会
23-30日 第34回ハルツーム国際見本市(スーダン)
24日 H-IIAロケット32号機によるXバンド防衛通信衛星2号機の打上げ(鹿児島・種子島)
24日 英最高裁がEU離脱の議会承認めぐり判断
25日 「帝国の慰安婦」名誉毀損事件の刑事裁判判決(韓国・ソウル)
25-27日 西アフリカ地域エネルギー協力サミット(コートジボワール)
25-28日 IMFのラガルド専務理事がウガンダを訪問
26日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
27日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
27日 米国2016年第4四半期および年間GDP(速報値)発表
27日か30日 ロシア1~11月貿易統計、12月雇用統計発表
27-30日 韓国旧正月休暇
27日-2月2日 中国春節(旧正月)休暇
29日 岐阜県知事選挙
29日 仏社会党が大統領予備選決選投票


【来週の予定】
1月30日-2月1日 サイバー技術国際会議「サイバーテック2017」(イスラエル・テルアビブ)
30日-2月2日 中東地域医療産業見本市「アラブヘルス2017」(UAE・ドバイ)
31日 ユーロスタット、12月失業率発表
31日 最高裁「養子縁組無効確認」判決
31日 ブラジル12月全国家計サンプル調査発表
31日-2月1日 米国FOMC
最終週 アンゴラ中銀、金融政策委員会
初旬 中国2017年主要統計の発表日程公表
上旬 ケニア中央銀行、金融政策委員会
上旬 中国2016年通年貿易統計発表
上旬 インド2016年度GDP予測発表
上旬 メキシコ12月CPI、自動車生産・販売・輸出統計、11月鉱工業生産指数発表
上旬 ブラジル12月IPCA発表
中旬 メキシコ12月雇用統計発表
中旬 中国2016年通年経済指標(GDP、CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
中旬 南ア12月CPI発表
中旬 ブラジル11月月間小売り調査発表
下旬 ブラジル12月全国家計サンプル調査発表
下旬 ナイジェリア中銀、金融政策委員会
下旬 第28回アフリカ連合(AU)総会(エチオピア・アディスアベバ)
下旬 メキシコ11月小売・卸売販売指数、12月貿易統計発表
下旬-2月上旬 第19回東アフリカ共同体(EAC)首脳会合
月内 オーストリアのクルツ外務・欧州統合相がジョージア訪問
月内 IMF、世界経済見通し(World Economic Outlook)発表
月内 世界銀行、世界経済見通し(Global Economic Prospects)発表
月内 ジョージアのクビリカシビリ首相がイタリア訪問
月内 英国最高裁、EU離脱通知の議会承認の要否に係る判決公表
月内 ウズベキスタンとタジキスタンの首都間で直行便運航が再開
月内 パキスタン中央銀行、金融政策決定会合
月内 西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)首脳会議(コートジボワール)
月末 米国大統領一般教書演説
2月1日 ブラジル12月鉱工業生産指数発表
1日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
1日 インド2017年度政府予算案発表
1日 米国FOMC
1-2日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
1-2日 「Athens Energy Forum 2017」の開催(ギリシャ)
3日 ロシア中銀理事会
3日 米国1月雇用統計発表
5日 リヒテンシュタイン議会選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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